2023年9月6日から9月8日に幕張メッセにて開催されている最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2023」にて、アジレント・テクノロジーは、未来のラボをデザインする前処理自動化ソリューションやデータインテグリティ対策がされた管理ソフト、自動分注機器などのソリューションを展示している。

計量結果の送信を自動化する統合型ソリューション

同社は多くのソリューションを展示しているが、その中でも注目を集めていたのは、メトラー・トレド社の「METTLER TOLEDO LabX Balance ソフトウェア」からアジレントの「Agilent OpenLab ソフトウェア」に計量結果と関連メタデータを自動でシームレスに送信できる統合型の前処理自動化ソリューションだ。

  • 統合型ソリューション。左がメトラー・トレド社の電子天秤で、右がアジレント・テクノロジーの分析装置

    統合型ソリューション。左がメトラー・トレド社の電子天秤で、右がアジレント・テクノロジーの分析装置

これは、人間の手によって行うと時間がかかるほか、転記ミスや計算ミスが生じやすく生産性が低下してしまいかねないサンプル調製や分析を自動化できるというもの。メトラー・トレド社がもつ電子天秤とアジレントの液体クロマトグラフィー(LC)もしくはガスクロマトグラフィー(GC)といった分析機器をつなぐことで、サンプル調整における計量情報などが自動的に記録・転送され、転記ミスや計算ミスを低減させることができるという。

ブース担当者は、研究に携わってきた研究者の方から「重さを計り手作業で数値を入力する作業はとても負担になるものだった」と現場の声を聞いたとし、「そうした負担となる作業を、自動化することで負担を軽減できる未来のラボをお見せしたい」と語っていた。

自動分注ソリューション「Agilent Bravo NGS」

このほか、自動分注ソリューション「Agilent Bravo NGS」も注目を集めていた。

  • 自動分注ソリューション「Agilent Bravo NGS」

    自動分注ソリューション「Agilent Bravo NGS」

検体となる液体から一定量の液体を取り出し他容器に移す「分注」という作業は、サンプル数が多くなればなるほど処理にかかる手間が増え、大きな負担となっていく。

しかし、同社ではサンプルの調整から自動化することができるほか、プレートリーダーに接続し組み合わせることでプレートの分析までをも自動で行えるソリューションを展開することで、そうした現場の負担軽減の実現を目指してきたという。

また近年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、PCR検査を受ける人の数が急激に増えたが、PCR検査はサンプルを調査できる機械に入れる前に、3段階ほど温度を変化させる必要があるという。この温度変化により、DNAの鎖が分離したり合成して検査が可能になるのだが、通常こうした温度変化も手作業で行われており、やはり現場の負担となっていた。同社では最近、PCR用の温度変化可能なデバイスをデッキに組み込むことにより、プレート全体で温度調節を行いPCR検査を効率よく行えるソリューションの展開も開始したのだという。

なお、アジレントでは手作業では効率が悪かったり、大きな負担となっていた部分を自動化し、そこで得たデータをデータインテグリティ対策が万全な管理ソフトで管理できるようにすることで、より生産性の高い「Automation」「Connection」「Digital」のすべての観点を網羅する未来のラボに向けたトータルソリューションを今後も提供していきたいとしていた。

  • 「未来をデザイン」するアジレント・テクノロジーの展示ブース

    「未来をデザイン」するアジレント・テクノロジーの展示ブース