ネスレ日本は9月4日、日本貨物鉄道(JR貨物)とそのグループ会社である全国通運、日本運輸倉庫の3社と、長距離輸送を対象としてきた貨物鉄道による輸送を、より貨物量の多い中距離輸送にも2024年2月より段階的に拡大していくことで合意した。
ネスレ日本は、二酸化炭素(CO2)排出量の低減のために、トラックから貨物鉄道や船舶などに輸送を切り替える「モーダルシフト」を推進している。輸送の「様式(モード)」を「転換する(シフト)」意味の2語を組み合わせた造語だ。国土交通省によると、CO2排出量において、貨物鉄道輸送はトラック輸送の約11分の1、船舶輸送の約2分の1とされている。
貨物鉄道や船舶を用いた輸送は、一度に大量輸送が可能となるため、トラック輸送よりも環境負荷が小さいだけでなく、トラックドライバーの負担軽減にもつながる点が注目されている。しかし、モーダルシフトは、長距離になるほど効率的な輸送が期待できることから、これまでは長距離輸送(走行距離500キロメートル以上)が中心だった。
そこで今回、ネスレ日本とJR貨物グループは、より貨物量の多い中距離輸送(200~350キロメートルを中心帯に想定)においても新たな輸送網の構築に取り組み、より持続可能な物流を目指す運びとなった。
具体的には、2024年2月よりネスレ日本 島田工場(静岡県島田市)からJR貨物 百済貨物ターミナル駅(大阪府大阪市)を経由した関西方面への輸送を開始する予定。その後、ネスレ日本 霞ヶ浦工場(茨城県稲敷市)から JR貨物 隅田川駅(東京都荒川区)を経由した東北方面への輸送に取り組むなど、段階的に貨物鉄道輸送への移行を進める方針だ。