Coltテクノロジーサービスは8月29日、グローバルの戦略と日本市場における投資に関する記者説明会を開催した。同社はグローバルに考え、ローカルで活動する(Think global / Act local structure)ための体制を築いている。初めに、「グローバルに考える」という観点から、英Coltテクノロジーサービス CMO 水谷安孝氏が説明を行った。
同社のサービスの接続国数は32、都市数は222、接続データセンター数は1000を超えているが、水谷氏は「日本と同じ事業を世界でやっている」と語った。
同社はKVHとして国内でビジネスを開始して以来、投資を続けているという。2014年にColtとKVHが事業統合を行い、2019年には名古屋に続き、京都、神戸でメトロネットワークを開始した。2022年には4G/5G Wireless Accessサービスも提供を始めた。
加えて、水谷氏は今年6月にAmazon Web Servicesと提供を開始した、金融市場向けマルチキャスト・データサービス「Colt Market Data in the Cloud」を紹介し、「ネットワークサービスにとどまらず、ソリューションに近いものも提供している」と説明した。
水谷氏は近年、同社が注力しているサービスとして、セルフオーダー式ネットワークサービス「Colt On Demand」を紹介した。同サービスは、ポータル画面から、ネットワークをオンデマンドでオーダーでき、リアルタイムで帯域の増減速が可能。課金は使用した時間に応じて行われるため、契約期間に縛られない。
「ネットワークも必要な時に必要なだけ使い、クラウドも使いたい時に接続することが求められている」と水谷氏。ガートナーも、日本はネットワークの需要が爆発的に伸びるという見方をしており、英国本社も日本に特化して何ができるかを考えているとのことだ。
また、水谷氏は同社のインフラの強みとして、オープンネットワーク・アーキテクチャを紹介した。同アーキテクチャは、ベンダーのトランスポンダー、オプティカルスイッチで構成されている。
トランスポンダ―が技術の革新が速いが、これまでトランスポンダーとオプティカルスイッチが一体型だったため、新しい機器を使うことが難しかった ちという。そこで、トランスポンダーを変えることで、ネットワークを刷新できるようになったそうだ。
企業は、顧客ロイヤリティや顧客の継続利用の意向を知るため、NPSという指標を用いることが多い。同社の最新のNPSは74を達成しているとして、水谷氏は「業界として高い数字が出せるようになってきたので、さらに高めていきたい」との意気込みを見せた。
続いて、Coltテクノロジーサービス ジャパン・カントリー・マネージャー ジェラルド・バーン氏が「Act local」の観点から、説明を行った。同氏は、本社に所属するジャパン・カントリー・マネージャーとして、日本法人の代表取締役と連携している。
バーン氏は、「グローバルで価値観や戦略を浸透させ、整合性を保つため、さらには、戦略をローカルレベルで遂行するためにカントリーマネージャーを置いている。ローカルのニーズを本社に上げる役割もある」と述べた。
バーン氏は、インフラ、社員、カルチャーの3つの観点から、国内における24年間の投資実績を紹介した。創業から続いている設備投資の累計金額は1000億円に上る。
インフラに関しては、国内で100 以上のデータセンターに接続、国内の主要都市で2400以上の商用ビルに接続しており、バーン氏は「われわれのミッションはコネクティビティに尽きる。クラウドベンダーの接続性を支援する一方、金融取引所など大企業にコネクティビティを提供してきた」と語った。
同社は今後も、日本のネットワーク拡張に対する投資を緩めることはなく、3年にわたり、150億円の累計投資が計画されている。
最後に、在日英国商業会議所会長のリチャード・ライル氏がビジネスにおける日英の協力について説明を行った。在日英国商業会議所は、日英関係に注力した会員制組織で、200社以上の法人会員が所属しているという。
英国は、「インフラへの投資」「熟練労働者や新しい労働習慣の導入」「デジタル、グリーンテクノロジー提供」の形で日本の目標達成を支援できるとして、「テクノロジーを活用して、日本のチャレンジを支援していきたい」 と語っていた。