ドキュサイン・ジャパンは8月25日、契約書の作成から分析までのプロセスを一元管理できる、契約ライフサイクル管理システム「DocuSign CLM」を日本市場に本格展開すると発表した。

今回、「DocuSign CLM」は本格展開に伴い、UI含めて日本語化されており、同社においても同製品を提供できる体制の準備が整ったという。

契約ライフサイクル管理(CLM)とは、契約書の準備から、署名・捺印、実行、保管までのフローを一気通貫で管理するソリューション。DocuSign CLM は、契約プロセスの5つのステップ(作成、交渉、署名・捺印、保管、検索・分析・更新)を簡単、効率的、迅速にすることで、ビジネスの加速化を支援する。

代表取締役社長 竹内賢佑氏は、契約ライフサイクルが抱えている課題とリスクについて、次のように説明した。

「多くの組織は契約ライフサイクルが課題になっている。具体的には、プロセスが属人的、煩雑な文書管理、契約上のリスク可視化されていないといった課題がある。そして、契約管理がビジネスに及ぼす影響は大きく、3つのリスクがある。われわれはここにメスを入れていかなければいけないと考えている」

  • ドキュサイン・ジャパン 代表取締役社長 竹内賢佑氏

契約管理が及ぼすビジネスへの影響とは、「セールスサイクルの長期化」「不十分なコンプライアンスのリスク管理」「顧客満足度の低下」だ。

竹内氏は「ITの資産は、CRM HCM ERPなどの基幹システムに統合されてきたが、これらは皆が触るシステムで、さまざまなプロセスが動いている。これらの契約を司るシステムはこれまでなかった。契約情報をプラットフォームとして管理することで、メリットが見いだせるのではないか」と、新製品を開発した背景を説明した。

続いて、ソリューションコンサルティング CLM事業部長 蛯子晃仁氏が、「DocuSign CLM」の詳細について説明した。同氏は、同製品の強みについて、「導入が簡単、直感的に利用でき、企業全体で利用可能 柔軟性があるだけでなく拡張性もある」と語った。

  • ドキュサイン・ジャパン ソリューションコンサルティング CLM事業部長 蛯子晃仁氏

同氏は、同製品の特徴として「マニュアル作業を自動化」「複雑なワークフローを統合」「不必要なリスクを排除」を挙げた。

「マニュアル作業の自動化」としては、契約書の作成や交渉を円滑に進め、修正内容を追跡、バージョン管理を行う。具体的には、ワンクリックで、法務部などの関係部署に承認された表現と、正確な顧客情報が自動的に契約書に入力される。

また、契約書の確認、赤字修正、バージョン管理の状況の見える化を実現。いつ、誰が、何を行ったのか、正確に記録する。

「複雑なワークフローの統合」としては、契約書の作成やレビュー、承認などに関わるすべてのビジネスプロセスの統合・追跡を実現する。例えば、事前に設定した契約回覧の順番・分岐のルールを適用することで、自動のワークフローを数分で実行できる。ワークフローは、テンプレートから作成可能なほか、ドラッグ・アンド・ドロップのUIでカスタマイズできる。

「不必要なリスクの排除」に向けては、契約保管場所で契約書を一元管理し、契約プロセスを標準化して分析するとともに、コンプライアンスの遵守を促してリスクを可視化する。

「企業では、文書のコピーがデスクトップに保存されていたり、ワークフローが紙で回覧されていたり、トラッキングが難しい状況にある。DocuSign CLMは契約情報を一元管理することで、可視化できるようにする 可視化できないものは管理できない。文書の変更履歴も取得する」(蛯子氏)

  • 「DocuSign CLM」のダッシュボードのイメージ

竹内氏は、CLM市場について、「まだ始まったばかりで、日本に競合はいない。CLMという言葉を使っていても、プロセスの一部をカバーしたポイントソリューションを提供している企業が多い。われわれは契約のライフサイクルすべてを司るプロダクトを出していく」と語り、CLM市場における優位性をアピールしていた。