Sansanは8月7日、「IPビジネスの契約実態調査」の結果を発表した。これによると、7割以上の回答者が契約違反によるトラブルを経験し、最大1億円の追加費用が発生した事例もあるという。
同調査は同社が7月14日~19日にかけて、IPビジネスに携わるビジネスパーソン610人を対象に、オンラインで実施したもの。
契約トラブルの経験があるか尋ねると、73.4%が「契約違反によるトラブル」、62.5%が「契約書を結んでいないことによるトラブル」を経験したことがあると回答した。
内容は、使用範囲の違反や期限超過、キャラクターの無断使用などが挙がり、IP(知的財産)ビジネスにおいて契約トラブルが多く発生している実態が明らかになったと同社は見ている。
トラブル経験がある回答者に影響を聞いたところ、「ビジネス展開やプロジェクトの進捗が遅れた」が39.8%と最も多く、以下「IP・ライセンスの利用条件を変更した、もしくは希望の条件で使えなくなった」(37.0%)、「追加費用が発生した」(33.0%)が続く。
進捗遅れが発生した場合の日数は、最大700日、平均37.1日だった。追加費用は最大1億円、平均373万4000円だった。IPビジネスにおいて契約関連のトラブルが発生した場合、企業全体への影響も大きいと、同社は分析する。
案件ごとに契約書を結んでいるかを尋ねると、結ばない場合があるとの回答が50.9%に上り、その理由では「契約書の締結が必要なケースが整理されていないから」や「案件の金額が小さいから」との回答が上位に並ぶ。契約業務を軽視している案件が多く、業務フローを整備していないのが実態だと同社は見ている。
調査結果を受けて同社Contract One Unit ゼネラルマネジャーの西村仁氏は、「国内外で人気が高い日本のコンテンツを活用したIPビジネスは、今後ますます拡大することが予想されています。市場が拡大するに伴い契約件数が増加し、海外との取引など複雑な案件も増えていくと考えられます。契約業務を疎かにしたことでトラブルが発生すると、コンテンツそのもののイメージを棄損することにもつながりかねません。IPビジネスに従事する企業にとって、ビジネスチャンスを捉えながらも契約業務を疎かにすることなくフローを整え、リスクを適切に管理することが求められています」とコメントしている。