8月2日、エンタープライズ企業のデータ利活用を支援するフライウィールが東京都世田谷区立松沢小学校で、データ活用を学ぶ「夏のワクワク体験教室」を開催した。対象となったのは、同校の4年生から6年生。簡単な講義の後、紙飛行機の飛距離を題材にデータの収集と分析を体験しながら学んでいく構成だ。デジタル技術が発展した時代に生まれた今どきの子どもたちは、データ活用の概念をどう受け止めるのか。本稿では、当日の模様をレポートする。

お小遣いの額を例に、データ分析の基本を学ぶ

体験教室ではまず、フライウィール データ部門 部長でシニアデータサイエンティストの川端貴幸氏が子どもたちに、データとは何か、データサイエンティストとはどのような仕事なのかを講義形式で伝えた。

また、データサイエンスには欠かせない統計学を学ぶ第一歩として、平均値、中央値、最頻値といった数値の概念を解説。お小遣いの額を例に挙げ、1人のお小遣いが極端に高額であれば平均値が上がってしまうことを示し、「平均値はみんなの真ん中の値ではない」と説明すると、子どもたちが大きくうなずく様子が見られた。さらに川端氏は、統計学でよく使われるヒストグラム、散布図、箱ひげ図を紹介し、グラフで可視化することでデータ分析がしやすくなることも説明した。

  • 川端氏から統計学の初歩がレクチャーされた

紙飛行機を飛ばして、データの収集・分析を体験

統計学の初歩を学んだ後、グループワークが行われた。1チーム約5名のチームに分かれ、1人ずつ自分の紙飛行機を折る。それを1人7回以上飛ばし、飛距離を計測。これが分析対象のデータとなる。子どもたちは集めたデータを基に、どの紙飛行機が一番遠くまで飛ぶのか、毎回安定して一定距離飛ぶ紙飛行機は誰のものなのかを話し合い、手描きでヒストグラムや箱ひげ図を作成した上で、チームを代表する紙飛行機を選出するという流れだ。

  • チームに分かれての紙飛行機づくりの様子

  • それぞれの紙飛行機を飛ばし、飛距離を計測

  • 実際のデータを見ながら、グラフ化していく

グループワーク後は、各チームがなぜその紙飛行機を選出したのかを発表。最大値や最小値、中央値をグラフ化して平均値と比較するチームがあったり、飛距離の良さよりも安定性を重視するチームがあったりと、各チーム独自の分析が光った。また、フライウィールのデータサイエンティストからは、それぞれのチームのデータをプロ目線で分析した考察も示された。

  • 各チームの分析を発表

  • データサイエンティストからも、プロの目線で分析結果が示された

データ分析の楽しさ、大切さを学ぶ

各チームから発表された選出理由を踏まえ、決勝戦の勝敗予測が行われた。子どもたちは5機の紙飛行機の飛距離の平均値や中央値などを分析し、挙手で投票。実際に行われた決勝戦では見事、勝利予測をした子どもが一番多かった1機が優勝した。

データ分析によって、勝ち負けを予測できることを学んだ子どもたちからは「面白かった」「もっといろいろなデータを見たい」といった声が上がった。また、「(メジャーリーガーの)大谷選手もデータ分析をしているって本当ですか」といった質問も飛び出すなど、データサイエンスへの関心の高まりが感じられた。専門家の話を聞き、実際に手を動かしたことで、各々がデータ活用の意義を見いだせたのではないだろうか。ここから、未来のデータサイエンティストが生まれるかもしれない。

  • 決勝戦の様子

なお、フライウィールでは今後も、子どもたちにデータ分析やデータサイエンティストについて啓蒙する活動を継続して実施する予定だという。