沖縄セルラーおよび、アサイアン、KDDIエボルバは8月4日、多様化するライフスタイルや、家庭環境によって変容するライフサイクルに合わせた柔軟な働き方を求める求職者が多い地方の雇用推進と、企業の人材確保を目的としたプロジェクトを立ち上げ、2023年4月より沖縄県で開始した『遠隔地在住者の「在宅コールセンター/コンタクトセンター」雇用にかかる通信・セキュリティ・人材育成の課題解消』実証を実施したことを発表した。
同プロジェクトはアサイアンが企画し、KDDIエボルバが福岡県福岡市のコンタクトセンターで受託するアサイアンのスマートフォンに関するテクニカルサポート(インバウンドコール)業務において、遠隔地にあたる沖縄県沖縄市・那覇市・浦添市に在住するシングルマザーとWワーク希望者を在宅雇用した実証を3カ月間行った。
同プロジェクトに参加したシングルマザーのヒアリング調査では、「帰宅時間」「職場と自宅の距離(通勤時間)」「家庭の事情に合わせた勤務時間の柔軟な調整」が子育てと仕事の両立の課題に挙がった。近隣の求人が少なく、通勤可能な距離で就職をしても保育園の送迎や、子どもの帰宅時間にあわせた在宅、急な呼び出しや看護、習い事の送迎などの対応によって長期継続が難しい実態があり、「勤務時間の調整が可能な在宅であれば働ける」ニーズが高いことが確認された。
このような在宅勤務のニーズに応える「在宅コールセンター/コンタクトセンター」は、柔軟な働き方を模索するひとり親世帯を中心とする就労希望者とのマッチングにつながり、人材不足の打ち手の一つになる。その一方で、BPO・コンタクトセンターの在宅化は、機密情報を取り扱う顧客応対に必要なセキュリティ要件を満たす業務設計や在宅環境、人材のスキル要件が求められるため、厳しい制限が課題になるケースがある。
また、自宅のインターネット通信環境やリモートツールの整備、不慣れな電話応対を単独で行うことの本人の抵抗感や不安、孤独感などのメンタルに寄り添うサポート、組織と離れたリモート環境下で未経験から就業するスタッフのキャリアプランの形成も課題だという。
同プロジェクトは、これらの課題を3社のリソース・ノウハウ・共創で解決し、在宅勤務ニーズと就労意欲の高い地方在住の「ひとり親世帯」「Wワーク希望者」を対象に、在宅環境と、個人の事情に合わせた勤務時間、未経験者から働ける業務、人材育成を提供することで、企業の長期的な人材確保と求職者の安定就労を実現するもの。
フレキシブルな働き方を求める在宅スタッフは、カスタマーサポート窓口の入電量(繁閑期)に合わせたフレキシブルな人材配置が見込めるため、企業の採用効率とコスト適正化につながるものと考えられるという。
そして遠隔地の仕事を「地元に住み続けながら働く」ロケーションの提供は、求職者がより希望条件にマッチングする就労先を見つけやすくなるとともに、多くの地方自治体が取り組む雇用促進に寄与し、地方創生に貢献するとしている。