「ChatGPT」で生成AIブームを起こしたOpenAI CEOのSam Altman(サム・アルトマン)氏。7月24日には暗号通貨プロジェクト「Worldcoin」をローンチするなど多彩ぶりを発揮している。
インタビューでChatGPTやWorldcoinなどの根底にある自身の考え、政府への思いについて話している。
Worldcoinは虹彩スキャンを利用する暗号通貨プロジェクト。ロボットと区別する世界的な識別システムを構築すること、ユニバーサルなベーシックインカムなどの金融サービス、社会支援のためのインフラを提供することなども計画にあるという。
アルトマン氏はWorldcoin、ChatGPT、自身が支援する原子炉開発のOklo、健康寿命に取り組むRetro Biosciencesなどの取り組みについて「私は特定の将来のビジョンを信じており、これらはその独立したパーツとなる。それぞれが独自に取り組みを進めており、独立して動いている」と説明している。
一方で、その影響力が大きいことから「定期的に、これらのことは政府がやることではないか?民間のテック企業としてやるのはひどいことではないか?と言われる」と同氏は明かしている。
そして、同氏は「政府の仲介を排除するつもりはないが、公共部門はイノベーションを牽引しようという意志が欠如している」と意見を述べている。米政府のアポロ宇宙計画以来、政府の技術革新能力は衰退しているという。
アルトマン氏は「しっかりと機能する社会であれば、政府はAGI(汎用人工知能)や核融合などのことをやっているはずであり、残念だ。技術的な成果がもうないのだと嘆きながら国家の能力が少しずつ低下するのをじっと見守るか、あるいは次の策を考えて素晴らしい企業を作るかしかない」とのことだ。
同氏は米国市民であることを誇りに思っており、AGIの影響に関する説明や信頼を構築するため、米国政府との関係を強化しているという。
Worldcoinについても米国の規制当局と対立しており、米国ではトークンを発行しないことにした。これについてアルトマン氏は「悲しいことだが、法律に従う。時間が経過すれば米国でより明確になり、フレンドリーな環境になることを願っている」と思いを語っている。
なお、一連のアルマン氏のインタビューは英Financial Timesが7月25日付で報じている。