デル・テクノロジーズ(以下、デル)は7月13日、事業成長戦略にテクノロジーを取り入れている女性起業家を応援するためのビジネスコンテスト「デル女性起業家ビジネスコンテスト2023」の最終結果を公表した。前夜には、授賞式とネットワーキング交流会が東京都内のレストランで開催された。

  • ネットワーキングの様子

    ネットワーキングの様子

デルはCSR(企業の社会的責任)活動の一環として、「DWEN(Dell Women's Entrepreneur Network:デル女性起業家ネットワーク)」を2009年からグローバルで実施しており、これまでに全世界で約8万人の女性起業家が参加しているという。日本では2017年に活動を開始し、国内は約800人が参加中。このビジネスコンテストは日本独自の取り組みで、2022年に第1回が開催された。

今回のコンテストは3月7日に開始し、5月23日には一次審査を通過したファイナリスト8社が発表された。最終審査はDWENのWebサイトにて一般投票で行われ、各社のビジネスを紹介するビデオを視聴した人からの得票数で決められた。上位3社には計500万円相当(1位300万円 2位150万円 3位50万円)のデル製品が送られる。

大塚社長「日本・東京から世界をリードするような女性起業家が生まれるよう支援したい」

日本でのDWENの取り組みについて、デルのRosandra Silveira(ロサンドラ シルベイラ)氏は以下のようにスピーチした。

「本日ここに集まった皆さんは、粘り強くいかなる障壁も突破できる、新たな道を切り開く存在だと思う。DWENはまさに皆さんのために存在している取り組みだ。DWENは単なる女性起業家のネットワークではなく、一つのムーブメントとも言える活動で、私たちは一人一人の起業家と向き合って世界を変えていきたいと思っている。日本での登録者はすでに800人ほどであり、日本はジェンダーギャップ指数が世界の中でも最低ラインで男女間の公平性にはまだまだ課題が残る中ではあるが、DWENがこうした成果を上げているのは喜ばしいこと。日本の女性起業家は勇気があり、しなやかな心で力を発揮しているように感じる。これからも一緒に夢を見て、共に刺激し合って成長していきましょう」

  • デル グローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー Rosandra Silveira氏

    デル グローバルコンシューマーリテール&アウトレットビジネス担当 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー Rosandra Silveira氏

デルが調査を実施した、女性起業家を支える都市ランキング「DWEN Women Entrepreneur Cities Index」によると、グローバル55都市の中で東京は45位だった。この調査は、各都市の政策や特性、法律、習慣などが女性起業家と経済全体に与える影響を都市ごとにランク付けしたものだ。ビジネスの成長を目指す女性にとっての総合的な適合性を示すという。

この調査結果を引用して、デル 代表取締役社長の大塚俊彦氏は「調査結果を前向きに捉えると、日本はすごくポテンシャルを持っているということ。当社としてもDWENを通じて、さらなるネットワークの広がりと皆さんの活動を支援したい。日本・東京から世界をリードするような女性起業家が生まれるようDWENの活動を続けたい」と語っていた。

  • デル 代表取締役社長 大塚俊彦氏

    デル 代表取締役社長 大塚俊彦氏

一般投票により選出された3社を発表

それでは、一般投票により選出された3社を紹介していこう。

第3位:インターホールディングス

第3位には真空に関する特許技術を持つインターホールディングスが選ばれた。同社の技術は99.5%の真空パックを実現できる。この真空パックの中に牛乳を入れた場合、賞味期限は従来の約10倍に相当する30日間まで延長可能だという。なお、パックは繰り返して利用できるとのことだ。

代表取締役の成井五久実氏は「私は35歳を迎えて、後世に残るインパクトのある事業をしたいと思い起業した。当社は真空特許技術を使って、地球温暖化の抑制とフードロスの削減に貢献したい」と展望を語った。

  • インターホールディングス 代表取締役 成井五久実氏

    インターホールディングス 代表取締役 成井五久実氏

第2位:オングリットホールディングス

第2位は福岡県を拠点に土木・建設業界をテクノロジーで支援するオングリットホールディングスが選ばれた。同社はインフラ点検の現場を支援するAI(Artificial Intelligence:人工知能)やロボットの開発を手掛ける。

さらに、専門知識を持たなくても使えるツールの開発にこだわっており、就職が難しい人の支援も同時に進めているようだ。

代表取締役の森川春菜氏は「私が生まれて初めて購入したPCがデルのものだったので、今回デルのコンテストで2位に選んでいただけたのはすごく嬉しい。インフラの老朽化は国内のみならず全世界の課題となっているので、当社のソリューションを海外にも展開していきたい」と喜びを明らかにしていた。

  • オングリットホールディングス 代表取締役 森川春菜氏

    オングリットホールディングス 代表取締役 森川春菜氏

第1位:スペース

リレー輸送で物流業界の変革を狙うスペースが、見事に1位に選ばれた。トラックドライバーは物流に無くてはならない存在だが、その長時間労働が問題となっており是正が急がれる。これに対し同社は、中継地点のシェアと運送業者のマッチングを行うプラットフォーム「ドラ基地」を開発中だ。

  • ドラ基地のサービス概要

    ドラ基地のサービス概要

代表取締役の村井美映氏は「以前運送会社で働いていたときに、長時間労働に対するトラックドライバーの悲鳴に近いような声を間近で聞いていた。ドライバーの労働環境を改善しながら荷物をこれまで通りに運ぶためには、特定の1社だけの取り組みでは実現が難しいので、荷物の中計輸送を支援するサービスを思い付き起業した。どんな時でも荷物を運んでくれるトラックドライバーの生活が豊かになることを願って、今後も進んでいきたい」と、決意を新たにしている様子だった。

  • スペース 代表取締役 村井美映氏

    スペース 代表取締役 村井美映氏

  • 上位3社の授賞式の様子

    上位3社の授賞式の様子