新型コロナウイルスが5類感染症へと移行になり、以前のような生活を取り戻しつつある現在。多くの影響を与えた新型コロナウイルスの流行だが、筆者として悪いことばかりではなかったように思う。

最も良い影響を及ぼしたのは間違いなく「働き方」という面だろう。家から出られない、人と接触するのに抵抗があるという社員のために「テレワーク」という形の働き方を導入する企業が増えた。

それ以降、「どこで働くか」「誰と働くか」「どう働くか」について、企業も従業員も考える機会が増え、多様性のある働き方を選択できる企業が大幅に増えたのは間違いないだろう。

今回は、その中でも多様性のある働き方の選択を広げ、個性的な「どこでも本社勤務制度」をはじめとする新しい制度を作り上げたSOMPOひまわり生命に取材を行った。

働き方関連の担当であり、「どこでも本社勤務制度」の利用者でもある人財開発部 企画G 課長代理の吉田志帆氏を中心に話を聞いた。

地域限定勤務社員が「本社勤務」として働ける

先程挙げた「どこでも本社勤務制度」とは、2021年からSOMPOひまわり生命が設置している人事制度のことだ。

この制度は、東京都新宿区の本社に通勤できない地域限定勤務社員に対して本社部署への人事異動を発令し、100%リモート勤務をもって業務に当たれるという制度で、対象社員のキャリアビジョン拡大および全社的な生産性向上を目指すものだという。

  • どこでも本社勤務制度のイメージ

「弊社では、2017年6月から時間と場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するために、テレワーク勤務制度を導入しました。そして、コロナ禍を契機として、リモートワークを前提とした業務環境を整備することで、これまで勤務地が限定的であった社員が幅広いキャリアビジョンを描くことが可能である『どこでも本社勤務制度』を設置しました。お客さまに近い営業現場の社員が本社業務に従事することで、従来業務の延長線ではない現場目線での発想による業務変革を実現できていると思います」(吉田氏)

  • 『どこでも本社勤務制度』の概要を語る吉田氏

今回話を聞いた吉田氏もこの制度を活用して働く1人だ。

元々は、15年もの間、営業店に在籍していたという。そこから人財開発部へ「どこでも本社勤務制度」を活用して異動することが決まり、現在では社員の働き方に関する業務を行っている。

最初のうちは、まったく違う業務に戸惑うことも多かったと語る吉田氏。しかし、右も左も分からなかった時期を乗り越え、今では学ぶことの多い業務内容に日々楽しみを感じているそうだ。

また、この制度を活用することによって感じた1番のメリットは「世界が広がった」ことだという。

「営業店にいた頃は、多少のメンバーの入れ替わりがあるとはいえ、限られた少人数の人や地域の代理店の皆さんと仕事をすることがほとんどでした。しかし、本社での勤務を開始して、多くの方と関わるようになりました。所属する部署の規模が大きくなったことに始まり、他の部署の方とお話しする機会が増えたり、ミーティングを実施する機会も増えたりして、『リモートワークで行う、どこでも本社としての業務を通じて世界が広がった』と感じています」(吉田氏)

「健康応援企業」として社員がいきいきと働ける環境をつくる

ここまで吉田氏に「どこでも本社勤務制度」について伺ってきたが、実はSOMPOひまわり生命が実施している働き方制度はこれだけにとどまらない。

その1つが週4勤務(週休3日)制度だ。

近年、働き方の多様性の一環として、この制度を取り入れる会社も増えつつある。ひまわり生命では、仕事と妊娠・介護・育児との両立の支援、再雇用社員の多様な働き方の支援を目的として、2017年から導入されている。

制度利用者からは「土日で終わらない育児や家事はもう1日の休みに回せばいい。育児ストレスを感じない」、「余った時間で資格の勉強に当てるなど、自己成長の時間も確保できた」というポジティブな意見が出ているそうだ。

  • 週4勤務(週休3日)制度を使っている社員の週間スケジュール例 ※休日とする曜日は任意で設定可能

ここまでSOMPOひまわり生命の働き方制度を伺ってきたが、なぜ、SOMPOひまわり生命はこのような働き方の制度を広く整えているのだろうか。

そこには、自社や生命保険業界が「いざという時」の企業ではなく、「何かが起こらないようにする」企業へ進化していきたいという熱い想いが込められている。

「弊社は、グループの経営理念のもと、『健康応援企業』への変革を進めています。これまで生命保険は『いざという時を支える』役目を果たしてきました。しかしこれからは、いざという時だけではなく、お客さまとその大切な人を守る仕組み、健康であることを応援していくことが必要だと考えています。そのため、健康になるための『毎日』にも寄り添い、『万が一の備え』と『毎日の健康』の双方を支援できる企業を目指しています。そのためには、まず、社員が健康でいきいきと働き生活できる環境を整えていくこと、そんな一歩から始めていきたいのです」(吉田氏)

確かに不健康で見るからに辛そうな人から生命保険をおすすめされても、「本当にここで頼んで大丈夫だろうか」と少し心配になってしまうようにも思う。ましてや、「健康応援企業」を目指すならなおさらだろう。

これからも同社は、多様な人財の声を反映させつつ、より働きやすい環境作りを目指していきたい考えだ。「いざという時」の企業ではなく「何かが起こらないようにする」=「健康応援企業」として進化するSOMPOひまわり生命の挑戦は続く。