新医療リアルワールドデータ研究機構(PRiME-R)は6月6日、電子カルテに蓄積された医療情報などの非構造データに対して生成AIのような技術で構造化し、「Cyber Oncology」などのCyber Rシリーズに収集する取り組みを開始することを発表した。同社はRWD(リアルワールドデータ)を活用して、医療の質の向上と臨床研究や医薬品開発の促進に寄与するとの方針だ。

  • RWD活用の概要図

    RWD活用の概要図

同社は今回の取り組みによって、さまざまな医療情報を構造化して収集したRWDを患者の治療目的で活用するだけでなく、臨床研究や医薬品開発といった用途に合わせて適切な形式で用いるために生成AIなどの新しい技術を活用するという。

データの収集と蓄積に関しては、電子カルテに記載された臨床情報や、患者への説明や院内カンファレンスにおける音声データなどから収集すべき臨床項目に合致するデータを探索し、適切な形式で構造化データとして蓄積する。また、収集されたデータの適正性について検証し、補正すべきデータやデータ欠損についてはアラートを発することで高品質なデータ収集を実現するとのことだ。

データの活用段階においては、RWDとして保有する治療効果や有害事象の発生状況などをAIで解析し、その結果に基づく診療方針案を臨床現場にフィードバックする。これにより、より良い医療を実現し、報告などに必要なドキュメントの自動生成による医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促すとしている。

なお、通常、医療情報は各医療機関において厳格に管理されており基本的に電子カルテのネットワーク外に持ち出すことができない情報であることから、同社が今回の取り組みで活用する生成AIなどの仕組みをオンプレミスで構築するなど、情報セキュリティに配慮しながら進めるという。