コロナ禍で一気に進んだデジタル化を土台に、我々はこれからWeb3の時代を迎える。「Web3は個の時代」だと言うのは、圓窓 代表取締役の澤円氏だ。ではそんな時代のコミュニケーションはどう在るべきか。
5月15日~26日に開催された「TECH+ Business Conference 2023 ミライへ紡ぐ変革」の「Day 6 チーム力向上の具体策―リスキリング&コラボレーション」に同氏が登壇。「Web3時代のコミュニケーション~どうすればあなたの話は届くのか~」と題し、講演を行った。
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データになっていなければ存在しない世の中に
澤氏は、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年に「世界はリセットされた」と口火を切った。さらに、コロナ禍でリモートワークが広がったことでこの年は「リモートワーク元年でもある」と続けた上で、仕事のやり方だけでなく、ビジネスの在り方も大きく変化していると言及する。
その一例が、ECサイトでの買い物だ。人々はサイト上で購入ボタンを押すことで、商品を購入したつもりになっているが、その場で商品を手にすることはできず、実際はサイト上のコンテンツ情報を信じている状態に過ぎない。これを澤氏は「コンテンツを買っている」と表現する。
「人はデータを信じる生き物になりました。データになっていなければ、この世に存在しないと言っても過言ではないのです」(澤氏)
Web 3時代のコミュニケーションは“個”
NFT(非代替性トークン)、DAO(分散型自律組織)、メタバース、仮想通貨などの技術が普及するWeb3の時代において、コミュニケーションとはどのようなものになるのか。
澤氏は「Web 3は個の時代」だと断言。データになっていなければこの世に存在しないという前提の下、Web 3時代のコミュニケーションは「個として発信することがポイント」だと述べる。
ビジネスにおいても、顧客とのコミュニケーションが重要なのは言うまでもないが、そこには注意すべきポイントもある。澤氏は自動車の大量生産方式を確立したヘンリー・フォード氏の「もし顧客に彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」という言葉を引用し、次のように説明した。
「顧客とコミュニケーションをし、ニーズを拾い集めることは大事ですが、顧客が答えを持っているとは限りません。また、答えを言語化できるとも限らないのです。しかし、しっかりと観察し、丁寧にコミュニケーションを取り、顧客が言語化しきれていないものをきちんとすくい上げると、時代は変わります」(澤氏)