ジェネレーティブAI「ChatGPT」の登場が検索分野を揺るがしている。王者として君臨してきたGoogleは、OpenAIと手を組むMicrosoftを追う格好だが、手をこまねいているわけではない。

Googleはリンクを並べたこれまでの検索結果の表示形式から、AIとの会話、短編動画、ソーシャルメディアの投稿などを取り入れた表示への変更を進めているとのことだ。

同社では、検索エンジンを“よりビジュアルで、気軽に使えて、パーソナルで、ヒューマン”に変えようと計画しており、世界の若者に向けたサービスに重点を置いているという。

同社は5月10日より米国本社で年次カンファレンス「Google I/O」を開催するが、近い筋の関係者によると、そこでコードネーム「Magi」とする対話型の新機能を発表することが予想されている。

Magiについては4月、New York Timesも「検索体験を再構築する」新しい検索エンジンとして報じていた。Googleは2月にチャットボット「Bard」を発表している。

検索エンジンの変更に関する戦略をまとめた内部文書によると、同社は従来のウェブ検索結果では簡単に答えられないようなクエリへの対応を重視する予定。Google検索の訪問者は、問い合わせに対して、より頻繁にフォローアップの質問を促されたり、TikTokのようなビジュアルをスワイプしたりするようになるかもしれないという。

内部文書や関係者によると、同社はすでに一部のオンラインフォーラムの投稿や短い動画を検索結果に統合する動きを見せているが、今後はそうした素材をさらに強化していく計画とのこと。

ユーザーの行動は変容している。レストラン探し、生産性改善のヒントなどで、Google検索ではなく、アプリを利用することが増えており、同社の幹部はアクティブなWebサイトの数が頭打ちになっていると従業員に強調している。一連の報道は、Wall Street Journalが内部文書と関係者の話としてまとめている。

Googleの広報担当はWall Street Journalに対し、検索分野は「非常にダイナミックで急速に進化している」とし、AIやビジュアル機能の統合などサービス変革のために長期的なアプローチを重要視していると回答したという。