「オープンソースの経済的価値を測定する:アンケートと予備分析」のレポートのインフォグラフィック(同社資料より)

「オープンソースの経済的価値を測定する:アンケートと予備分析」のレポートのインフォグラフィック(同社資料より)

Linux Foundation Japanは3月30日、オープンイノベーションのパイオニアで書籍「Open Innovation」を執筆したHenry Chesbrough(ヘンリー チェスブロウ)教授が作成した調査レポート「オープンソースの経済的価値を測定する:アンケートと予備分析」(Measuring the Economic Value of Open Source Software: A Survey and a Preliminary Analysis)の日本語版を公開した。

オープンソースソフトウェア(OSS)は、世界中のあらゆる分野で利用されてきたが、経済的価値を評価・定量化することにこれまで関心が集まらなかった。現在では、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとり2003年にオープンイノベーションという概念を確立した著作「Open Innovation」を発表したHenry Chesbrough教授が、OSSの経済価値を測定するためFortune500の企業に調査を実施、その内容をまとめたものが今回のレポートで、Linux Foundation Researchが後援を行っている。

内容は、OSSの起源の説明から、OSSの価値に関する先行研究の概略、OSSの経済価値を測定するための調査についての詳細、調査結果の分析及び考察となっており、PDFで45ページにまとめられている。調査結果の概略は以下の通りとなっている。

  • 利用者側はオープンソースのベネフィットについて「コスト削減」「開発スピードの高速化」「オープンスタンダードと相互運用性」を最も高く評価。
  • ほとんどの回答者がソフトウェアの機能を自ら提供するより、OSSを利用する方がコストが大幅に少ないと見なしている。
  • 回答者の31%が同等の機能を持つソフトウェアを購入する場合、OSSの4倍のコストがかかると回答。
  • 回答者の2/3がオープンソースのベネフィットはコストを上回ると回答。
  • OSSの経済的価値はその使用コストの1~2倍であると報告(回答者の中央値)。

レポートは、日本語版及びオリジナルの英語版ともにWebサイトからダウンロードできる。