MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険は2月27日、同社が広島大学と研究を進めているリモート・センシング技術と、建物被害AI自動判読技術を組み合わせ、地域別に建物損害額を最短3日で可視化するという取り組みを、2023年度に開始すると発表した。被災地域の人工衛星画像や航空写真から各地域の建物損害額を推計する取り組みは、同社によると世界初とのこと。

  • 取り組みのイメージ

同社は水害による損害調査ではリモートでの損害確認などを既に展開しており、迅速な保険金支払体制の構築を行っているという。一方、強風による屋根の損害は家屋ごとに高所での被害確認が必要となり、大規模災害時には調査に平均1か月かかっているとのこと。

こうした状況を受けて同社社と広島大学は、2021年3月から台風などの強風被害に関する共同研究を進め、人工衛星などから地球の表面を観測・解析するリモート・センシング技術を利用し、台風による建物被害額を地域別に推計・可視化する手法を2022年5月に世界で初めて開発したとしている。

今回、同手法と広島大学の三浦弘之准教授が開発した建物被害AI(人工知能)自動判読技術を組み合わせた新たな損害調査手法を、2023年度から展開することにしたという。

  • 推計した建物被害率と被害実態との比較

同取り組みにより、被災地域の衛星画像や航空写真を入手後、最短3日で地域別の建物損害額を把握し、同社の顧客を含む被災地域の復旧支援に利用するとのこと。

開始時期は、2023年度以降、激甚災害指定相当の強風被害や震度6弱以上の地震被害を複数地域で確認した場合、該当地域の人工衛星画像または航空写真を入手し、解析結果を使用するという。

今後の展開に関して、屋根瓦は台風に限らず地震の揺れによる被害も発生しやすく、台風・地震発生後は、降雨・降雪による二次被害を防ぐため専門業者によるブルーシートを用いた養生作業が必要になると同社は指摘する。

そこで、ブルーシートも識別する建物被害AI自動判読技術によって養生作業の進捗把握・養生業者の早期手配・着工の迅速化を目指すなど、グループ事業会社間で今回発表した取り組みの共同利用などを検討し、グループ全体で顧客体験価値の向上に努めていくとしている。