富士経済は2月17日、サービスロボットの世界市場を調査し、その現状や将来の展望を公開。2022年の市場は前年比27.6%増の2兆3,447億円、2030年には4兆1,850億円になると予測した。

  • サービスロボットの世界市場(出典:富士経済)

    サービスロボットの世界市場(出典:富士経済)

この調査結果は、2022年10月〜12月、富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用したもの。医療・介護用7品目、家庭用3品目、オフィス・店舗用9品目、建設/農業/物流・搬送/インフラ用9品目・計28品目のサービスロボットと、国内における注目サービスロボット関連ソリューション1品目についての現状と将来展望をまとめている。

サービスロボットの世界市場は、世界的な人手不足や人件費の高騰に加え、非接触や遠隔ニーズの高まりを背景に急拡大している。特にロボットへの置き換えによる費用対効果が明確で導入リスクの低い業務での導入が本格化し、2022年の市場は前年比27.6%増の2兆3,447億円となった。

今後も費用対効果の高い業務での導入や、販売台数の増加やロボットの高付加価値化、導入・活用関連ビジネスの伸長も追い風となることから普及がさらに進み、2030年のサービスロボットの世界市場は4兆1,850億円(2022年比178.5%)になると富士経済は予測した。

オフィス・店舗用は2022年、業務用清掃ロボットや配膳・下膳/配送ロボット(施設内)、棚卸しロボットが好調であったほか、調理工程の自動化が可能な調理ロボットも大きく伸びたことなどから、市場は前年比39.1%増となった。

2023年以降も人手不足対策やロボットを活用した業務の効率化ニーズの高まりを受け、市場は拡大すると予想。現在好調な業務用清掃や下膳/配送などの用途に特化したロボットは、警備や棚卸しなどの複数業務への対応が進むほか、各ロボットの稼働データの分析を通じた業務 効率化など高付加価値化によって導入がさらに進み、2030年の市場は2022年比2.4倍になるという。

建設/農業/物流・搬送/インフラ用は2022年、市場の6割市場を占めるドローン・無人ヘリが好調であったほか、無人農業機械や自動収穫ロボットが伸長した。 中長期的には、世界人口の増加による食糧需要の増加や農業人口の減少を受け、農作業の自動化ニーズがさらに高まるとともに、参入メーカーにより製品ラインアップが拡充されることから、市場は拡大するとみている。また、 デリバリーロボット(屋外)や無人農業機械、自動収穫ロボットはグローバルで商品化や実証実験や導入が進んでおり、今後の市場拡大に寄与するとみている。

デリバリーロボット(屋外)に関しては、米国や中国を中心に物流関連の需要増加を受けて伸びるとみられ、国内では改正道路交通法が施行されることから、郵便・物流事業者や一部の小売店、フードデリバリー業界、自治体への試験的な導入が進むとし、市場は本格化し、2030年の同市場は1,230億円(2022年比10.7倍)と予測した。

  • デリバリーロボット(屋外)の世界市場(出典:富士経済)

    デリバリーロボット(屋外)の世界市場(出典:富士経済)

ロボットプラットフォームの国内市場は、2022年はビルやインフラ向けでの清掃や警備、配膳・配送、点検業務を中心に本格導入が好調で市場は拡大。大企業を中心にサービスロボットの統合管理に対するニーズは高まっており、2025年以降はサービスロボットの本格的な普及が進むのに伴い市場は大幅に拡大し、2030年には350億円(2022年比43.8倍)になるという。

  • ロボットプラットフォームの国内市場(出典:富士経済)

    ロボットプラットフォームの国内市場(出典:富士経済)

業務用セキュリティロボットの世界市場は、2022年は国内では大手警備会社が新商品やサービスを発表したことから導入が増加。市場の8割強を占める海外ではグローバル上位メーカーが後継モデルを発売し伸長し、警備業界の人手不足などから今後さらに需要が高まるとみている。現在では実証実験レベルも多いが、実績を積み重ねることで信頼性の確立やユーザーの認知度向上につながるため、2030年に向けて市場は拡大していくと予測した。

  • 業務用セキュリティロボットの世界市場(出典:富士経済)

    業務用セキュリティロボットの世界市場(出典:富士経済)

配膳・下膳/配送ロボット(施設内)の世界市場は2022年、市場の4割強を占める国内で大手飲食チェーンの大規模導入により大幅に伸長。 海外では販路拡大や配膳・配送業務の自動化・省人化などが活性化し、市場は大きく拡大した。

  • 配膳・下膳/配送ロボット(施設内)の世界市場(出典:富士経済)

    配膳・下膳/配送ロボット(施設内)の世界市場(出典:富士経済)

2023年は、国内では前年の大型案件の反動を受けて一時的に縮小するとみられる。一方、海外では人手不足を背景とした自動化・省人化ニーズは今後も高まり、既に導入済みの施設や飲食店における更新需要が2025年頃から本格化することから、市場拡大につながるとみている。

なお、すべての内容は「2023年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」(A4判 217頁)に掲載されている。価格は書籍版が198,000円、書籍/PDF+データ版セットが242,000円、ネットワークパッケージ版が396,000円。