Coltテクノロジーサービスは2月15日、企業戦略説明会を開催した。初めに、代表取締役社長兼アジア代表の星野真人氏が、ネットワーク拡張計画を含めた事業戦略を説明した。
星野氏は冒頭、同社の強みについて、「われわれは世界52カ所にポイントを設置しており、メトロなネットワークを資産として持っている。NTTコミュニケーションズなどの競合は米国やシンガポールでは他社からファイバーを借りているが、われわれは自前のファイバーを持っている」と語った。
同社は「Wherever (どこでも)」「Whenever (いつでも)」「However (どのようにでも)」というミッションの下、グローバルにわたりネットワークの拡張に取り組んでいる。
「どこでも」については、自前のファイバーを売っていくことでカバレッジを広げ、自前のネットワークがないところはパートナーを探して提供する。
「いつでも」については、4年前にリリースされたOn DemandサービスのSDN(Software Defined Network)機能を強化する。星野氏は、「ネットワークもクラウドについていく必要がある」と述べた。
「どのように」については、顧客向けのポータルの開発に投資する。ポータルでは、障害のステータスを見せ、オーダーから保守まで受け付ける。
星野氏は昨今のネットワークの動向として、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴うクラウドの増加を挙げた。「DXを進めるにあたっては、コストを抑えながら柔軟にネットワークを使う必要がある。コロナ禍でネットワークの使い方が変わった。データを見る限り、日本のクラウド化は遅れている」と同氏は指摘した。
ちなみに、同社においても、2020年からクラウドアクセスが増えており、2022年9月の時点でインターネットバックボーントラフィックにおいても、クラウドサービスが46%を占めている。
こうした状況を受け、同社はクラウドとSD-WANに対する投資を高めている。2023年の時点で、クラウド接続サービスの拠点は250を超えており、また、2年前にリリースしたSD-WANの利用企業は200社を超えている。
星野氏は国内における拡張計画として、来年中に、岡山、広島、福岡といった西日本の拠点の構築を済ませたいと述べた。西日本を拡張する理由については、次のように説明した。
「まず、西日本において、ハイパースケーラーが大きくなってきたほか、海底ケーブルの陸揚げも西日本が多い。データセンタービジネスは今後、西日本に向かっていくことが予想される」
続いて、マネジング・ディレクター アジア営業担当バイス・プレジデントの大江克哉氏がアジアおよび国内の販売・パートナー戦略について説明を行った。
大江氏は、アジア成長戦略の柱として、「提供サービスエリア拡大&サービス強化」「システムインテグレーターとの協業強化」「ハイブリッド型営業モデルの導入」を挙げた。
「提供サービスエリア拡大」については、上述したように、西日本における提供を拡大していく。システムインテグレーターのパートナーがデータセンターを多く持っていることから、協業の柱になるとしている。
また、同社はデジタルインフラソリューションの提供モデルとして、「イーサネットインターネットアクセスクラウド接続」「SD-WANソリューション」「フルマネージド」を提供する。
Coltはアジアの営業体制として、大江氏の配下に「エンタープライズ営業統括本部」「ストラテジックアライアンス営業本部」「パートナー 営業本部」という3つの営業本部を置く。パートナー営業本部は新設された組織で、二けた成長を狙っているという。
大江氏は、企業をセグメントに分けるとともに、営業チームを再編して、ハイブリッド型セールスモデルを導入すると紹介した。「エンタープライズセールス」では、成長性が高いセグメントに属す企業を中心にFace to Faceで営業活動を行う。また、テリトリーセールスはインサイドセールスと共同で、デジタルマーケティングを活用してエンタープライズセールスと異なるセグメントを攻める。
さらに、大江氏はグローバルキャリアパートナー間のオートメーションにも取り組むことを明らかにした。具体的には、製品や価格に関する最新情報を常時共有する専用ポータルサイトを構築し、API連携により、グローバルキャリアパートナーへのローカルアクセス提供の見積もりからオーダーエントリーまでを自動化する。グローバルキャリアパートナーは現状の5社からさらに増やす予定とのことだ。同氏は、「次のステージは、オンデマンドでグローバルパートナーのネットワークを使えるようにする」と、今後の展望を語っていた。