KPMGコンサルティングは1月26日、「KPMG グローバルテクノロジーレポート 2022」を発表した。同レポートはこれまでCIOとテクノロジーリーダーを対象に行ってきた「グローバルCIO調査」の範囲を拡大し、世界15カ国、2,200人以上の経営層を対象に実施した調査が基になっている。
発表に伴い開かれた記者説明会では、レポートから読み取れる3つの傾向や、デジタル成熟企業の7つの特徴などについて解説された。
DXは確実に進むも、人材不足やセキュリティ面が課題に
冒頭、KPMGコンサルティング 執行役員で、Technology Transformation統括・セクターユニット副統括 パートナーの浜田浩之氏は、今回の調査が2022年度4月~6月に実施したものであることに触れ、ウィズコロナ、アフターコロナにどう対応していくかが企業の大きな関心事であったと説明。その上で調査全体からは、「コロナ禍で実際にトランスフォーメーションが加速しており、特に顧客体験の部分でDXが推進されていることがうかがえる」と見解を示した。また、企業側の課題としては、人材不足やスキル育成、サイバーセキュリティへの対応が浮き彫りになったという。
注目すべき5つの結果と3つの傾向
レポートの詳細説明に登壇した同社 Technology Transformation Management ユニット統括 パートナーの尹暢模氏は注目すべき結果として、以下の5点を挙げた。
これらの結果から尹氏は「コロナ禍で企業のテクノロジーへの投資とイノベーションは急速に加速している」と解説。さらに調査結果からは、3つの傾向が読めると述べた。
1つ目の傾向は、「カスタマーエンゲージメント向けテクノロジーへの高まる熱気」だ。尹氏は「デジタルトランスフォーメーションおよび関連投資のキードライバーは」という質問に対し、「顧客中心/エンゲージメントの加速」という回答が2位に挙がっており、「サイバーセキュリティの支出を増やすために最も影響力のあるキードライバーは」という質問でも「顧客体験の向上」が1位になっていることに言及。さらに「組織内で、デジタル変革の恩恵を最も受けている部門もしくは機能はどこか」という質問でもマーケティングや営業といった顧客と対峙する部門が多く挙がったことを示し、顧客体験の向上がテクノロジー投資のポイントになっていることを明かした。
2つ目の傾向として挙げられたのは「デジタル化の進展と依然として続く脅威」である。多くの経営者がDXに一定の効果を感じており、収益性や業績にもプラスの影響を与えたと回答している一方、最も大きな課題は人材不足や、人材獲得のためのコスト高だと回答する企業が多数を占める。また、クラウド化が進んだことから、セキュリティ面での課題を挙げる企業も3割を超える結果となった。
3つ目の傾向は、「対応に追われるサイバーセキュリティチーム」だ。日本企業の回答では約半数が、サイバーセキュリティの取り組みがスケジュールよりも遅れているといい、その理由も人材不足だと尹氏は説明する。その一方で「サイバーリスクを防止/軽減する能力にどの程度自信があるか」という質問に対して、「自信がある」と回答した率が日本企業は海外企業と比べると高く、「各脅威に対し、サイバーセキュリティへの自信は依然として高いままである」(尹氏)という特徴があるそうだ。
デジタル成熟企業の7つの特徴とは?
今回の調査結果から、KPMGは次の7つを「デジタル成熟企業の特徴」として挙げる。
尹氏は、「デジタル成熟企業は従来のウォーターフォール的なやり方ではなく、最終的なゴールを見据えた上で柔軟性を持って、アジャイル的な対応ができている」と説明した上で、「そのような社内のカルチャーを作れていることも大切だ」と強調した。