3Hメディソリューションは11月30日、生体試料の募集にDCT(Decentralized Clinical Trial:分散型臨床試験)の手法を導入した取り組みを開始すると発表した。この取り組みでは、検体提供により研究への協力を希望する患者の自宅へ医療従事者が訪問して検体を採取し、製薬企業やアカデミアなどの研究施設へ提供する。主に希少疾患や難病の検体採取が対象となる。

希少疾患や難病は現在までに有効な治療法が確立されていない場合が多く、明確な診断方法すら確立されていない疾患も少なくはない。また、それらの疾患は患者数が少ないため、製薬企業やアカデミアなどの研究者は、病態の解明や治療法の開発のために必要な患者の健康情報や血液、唾液などの生体試料へのアクセスも困難だ。

3Hが運営する3Hライフサイエンス研究所は、希少疾患および難病領域における患者の研究開発への参画と研究の促進を支援する「患者中心主義に基づく希少疾患研究開発プログラム(以下、PCRD2)」を東京大学 ITヘルスケア社会連携講座と共に2019年に開発している。PCRD2では、患者が検体を提供し、研究者は知財などに影響が出ない範囲で患者へ情報提供するほか、検体利用に必要な費用を負担する。

今回同社が開始する取り組みは、このPCRD2とDCTの手法を組み合わせた取り組みだ。DCTとはオンライン診療の技術やウェアラブル端末、訪問診療などによって、被験者の自宅など医療機関以外の場所を使って実施する臨床試験の手法である。

これにより、患者は居住地や地理的な条件、症状や身体の負担による移動制限に縛られることなく検体を提供できるようになる。患者の研究参加が促されることで、検体不足や情報不足の解消が期待されるのだという。

  • 医療機関へ通院せずに検体を採取できるようになる

    医療機関へ通院せずに検体を採取できるようになる