慣れていないフローや知らないフローが重なると想定外に時間がかかる。通常フローの業務であれば4時間で処理できるフローの場合、フローが2つあると8時間、3つになると12時間・・・
y=総フローの処理時間
a=1フローあたりの本人のキャパ(処理時間)
x=通常業務のフロー数
とすればy=axになる。Perlの対話式では、
print"1フローあたりの本人のキャパ(処理時間)";
$a = <ARGV>;
print"通常業務のフロー数";
$x = <ARGV>;
$y = $a * $x;
print"総フローの処理時間は$y時間";
これはわかる。しかし、時にまったく知らない業務に遭遇すると4時間の処理が、2つで16時間、3つで64時間・・・巨大な先送りの壁。あたかも指数関数的増加するかのごとく。y=axでは、
print"1フローあたりの本人のキャパ(処理時間)";
$a = <ARGV>;
print"通常業務のフロー数";
$x = <ARGV>;
$y = 1;
while($x > 0){
$y = $y * $a;
$x --;
}
print"総フローの処理時間は$y時間";
文字通りフローxが崩壊している。Perlのべき乗計算は**演算子で$y = $a ** $x;とすることで簡単に行える。しかしシンプルな**の内部には、少々複雑な構造が隠れている・・・というのはもちろん、感覚ベースの"与太話"だが、気軽に頼んだり頼まれたりするタスクはフローの細部がどうなっているか?に気を配らないと崩壊する。1日目に米1粒の褒美を、2日目に2粒、3日目に4粒と指数関数的に増加させていく曽呂利新左衛門と豊臣秀吉の有名な逸話ではないが、最終的には3つのフローと3乗のフローは全く別物である。先の話は、最終的に双方の合意があった100日目に至る前に破綻している。中身を精査せずに行う安易な合意は、極論すればこのようなことになる。
フローは細かい作業やプロセスの集合体だ。しかし、知らないフローは全体像が掴めていない。まずは、入り口を探さなければならない。Webサイトであれイントラネットであれ文字通り"検索"であることが多いのだが、これがなかなかたどり着かない。
途方に暮れながら入手したマニュアルらしき文献の状況と現実が乖離していることも多い。おおまかな概念を示すマニュアルでは、汎用性を持たせるためにどうしても抽象化された手順になる。情報が古いのも同様に概要しか掴めないことも多い。このため、相手のスキマ時間を考慮して電話で聞いたり、さらに深く検索するなどの例外が発生し、時間が増加してしまう。
最近、筆者が遭遇したフローのひとつが賃貸物件の更新手続きという極めてプライベートなものがあった。更新案内状にある家財保険の支払いの詳細が不明瞭であったため、別書類を過去に遡り、半信半疑の電話番号を悪戦苦闘し、なんとか見つけ出す。どうもストレートに会話が通じていないようであったが、丁寧な対応であったため電話で状況を紐解き、確認することができた。
想定していた期日と金額も異なっていた。書面の純粋な誤植というわけではないのだが、表の分類が紛らわしかったり、本文で書くべきところを別書類の注釈で説明するなど勘違いを生じやすい構造であるがため、危うく二重払いをするところだった。
業務で必要となる社内マニュアルにも同様の問題が多かれ少なかれ生じるであろう。どこに置いてあり、いつ改定されたかの履歴は最低限欲しい情報であるし、いわゆる"5W1H"のような情報は強調したいところだ。イントラなどにおいては、できるかぎりキャプチャ画面や動画で具体的に記されていたほうが有り難く、総体としての検索時間も減る。
またコロナ禍以後は、"聞く"コミュニケーションにも変化が生じる。ハイブリッドワークにより、窓口がどこなのか?窓口の状況の把握のハードルも上がってしまうためだ。どこに聞けばいいかわからない問題は、コロナ禍以前から課題としてよく耳にするがコミュニケーション量の低下により拍車がかかる。組織用マニュアルツールの導入が進んでいる一因でもあるようにも思う。
さて、よく知らないフローでは、まず先に流れ自体を自分なりに把握する必要がある。"業務フロー作成"で検索してみるとフロー図作成方法やツール活用など充実した情報が多い印象だ。専門的なものから気軽にはじめられるものまで幅広い用途で利用されている。
更新手続きに目安がついた筆者は、散歩中に良さそうなアナログツールを目にしたので購入した。
本来の使い方と違うのかもしれないが、コマ割りされたノートは、矢印を引きながら単純なフローを書き込める。記録用というよりは、フローを模索しながら試してみる、手順を考える用途に使えそうだ。手軽に期日やメモを書き込めるので、通常の時系列手帳とは異なる役割を与えてみよう。"フロー作成"には奥深い業務Hackが隠れている。そう感じる次第だ。