エッジオ・ジャパンは9月14日、オンラインで記者説明会を開催した。同社は6月16日にヤフー傘下の米Edgecastの買収手続きを完了し、7月1日に社名をLimelight NetworksからEdgioに変更。これに伴い、日本法人もエッジオ・ジャパン(旧ライムライト・ネットワークス)に社名を変更している。
Limelight NetworksからEdgioに
米Edgioでは、旧ライムライト・ネットワークス時代からデジタルコンテンツ配信、オンラインビデオ配信をはじめとしたCDN(コンテンツ配信ネットワーク)、クルドセキュリティ、エッジコンピューティング、クラウドストレージサービスを提供している。
ビデオメッセージを寄せた米Edgio CTOのアジャイ・カプール氏は「デジタル化の進展に伴うスケール、スピード、セキュリティを同時に実現することが求められている。そのため企業はエッジベンダーとクラウドベンダー間で複雑な構築をしなければならず、問題を悪化させている」と指摘した。
こうした状況に対して、インターネット全体の4%を支える同社のグローバルエッジネットワークは、データをすべてのユーザーに近づけ、WebアプリやAPI、ビデオ、メディアのためのプラットフォームを提供し、速く、安全かつ簡単にオンライン体験を実現するという。
具体的にはCDNの「Edgio Delivery」、Webサイトとアプリケーションの作成、管理、セキュリティ保護、デプロイを1秒未満のパフォーマンスで実現する次世代CDNの「Edgio AppOps」(旧Layer0)、そして動画のオーケストレーション、管理、収益化、最適化のためのブロードキャスト品質のソリューションを提供する「Edgio Streaming」の3つのプラットフォームを柱としている。
今回の社名変更により、同社のネットワークはグローバルにおいて250Tbps以上の総配信量を持ち、7000以上のインターコネクトを有し、PoP(Points of Presence:配信拠点)は300カ所以上に拡充された。このような基盤が同社製品のパフォーマンスとセキュリティ両面を支えているという。
特に重点的に説明されたのはEdgio AppOpsだ。同製品は、ユーザーがブラウジングに費やす時間を利用し、タップされる可能性の高いコンテンツをあらかじめ読み込むほか、動的データを含むあらゆるコンテンツをエッジでキャッシュし、即座にページにアクセスできるようにすることで、ページロードを高速化。
また、開発者はJavaScriptで設定されたCDNとコラボレーション開発ツールを利用することにより、従来比で最大2倍の速さでECサイトの構築などを行うことができる。
同社が提供するAppOpsはグローバルに分散したネットワーク上で動作し、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)、レイヤー3/4/7でのDDoS防御、データ暗号化、オリジンのクローキング、ボット管理など、多階層のセキュリティでユーザーを保護するとしている。
日本での事業展開の方針は
エッジオ・ジャパン カントリー・マネージャーの田所隆幸氏は、従来と比較して変化したポイントについて「Edgio AppOpsにセキュリティサービスとして『App Security』が追加された。これまでセキュリティに関してはサードパーティのサービスを販売していたが、今後は自社で開発したセキュリティサービスを提供するほか、自社製品をより良く利用してもらうためにエキスパートサービスを拡大する」と説明した。
日本での事業展開については、Edgio AppOpsでWebセキュリティ市場に参入し、シェア獲得を図ることを軸に置く。
同製品の競合優位性としてはWAF、APIセキュリティ、Bot対策、ネットワークセキュリティの4つの機能を含めたWAAP(Web Application and API Protection)により包括的にWebサイトを保護すると同氏は説く。
また、デュアルWAF(WAFのルールの解析するAudit WAFと、Production WAF)の運用で解析時間を短縮してゼロデイ攻撃対策の迅速化を可能とし、誤検出を低減させることで正確なルールで継続運用ができるという。さらに、AppEdgeでWebサイトのパフォーマンスの向上が図れるとしている。
エキスパートサービスの拡大では、セキュリティの体制強化を図るとともに、既存4社のパートナー企業に加えて新規パートナー企業の獲得を計画しており、要望に応えるためパートナープログラムを用意している。
当面の目標としては、PV(ページビュー)が多いトップ3000のWebサイトから10%のWebサイトで評価・検証の実証を目指す考えだ。田所氏は「市場のパイとしては少ないためAppOpsとApp Securityを強く打ち出して、新規のお客さまを獲得していく」と力を込めていた。