Scaled Agileの日本法人であるScaled Agile-Japanは9月14日、ビジネスアジリティの向上を支援するフレームワーク「SAFe(Scaled Agile Framework)」について、SAFe Lean Portfolio Management(LPM)の日本語版のリリースを発表し、記者会見を開いた。
LPMが日本語に対応
SAFeは、革新的なソリューションを提供するために不可欠なビジネス戦略や、テクノロジー、リーダーシップ能力などを支援するべく、アジャイルに関する全13のコースの教育カリキュラムを提供しているフレームワークだ。今回は、13のコースのうちLPMが日本語に対応したことで、日本語で受講できるコースは4つに増加した。
Scaled AgileのCEOであるChris James氏は会見に登壇して、「以前のビジネスは5カ年計画や10カ年計画に基づいて動いても十分だった。しかし現代は未来の予測が難しく、18カ月ごとに計画を立ててビジネスを進めなければならないような状況だ。このような時代においては、組織のレジリエンス(しなやかさ)が重要となるはず」と説明した。
同氏によると、LPMは経営層やリーダー層が企業のレジリエンスを高め、デジタル時代のビジネス競争に勝つために有効な手法なのだという。この教育コンテンツによって、あらゆる組織がより迅速に行動し、連携し、分散型の意思決定をする際に明確な戦略実行ロードマップを実装できるようになるとしている。
LPMはポートフォリオキャンバスツールを提供するため、ユーザーは自社のポートフォリオの現在の状態と将来の状態を知ることができ、将来の目標を達成するための重要施策を特定可能になると期待できる。
また、ポートフォリオカンバンによってポートフォリオフローを確立し、利益を最大化するための施策の優先順位付けにも寄与するとのことだ。
55%増の成長を遂げているAPACのビジネス
続いて、APAC(アジア太平洋地域)のVP(Vice President)であるRob Howard氏は、同地域におけるビジネス状況について説明した。同氏によると、APAC地域におけるSAFeの導入は米国や欧州よりも少し遅れていながらも、55%増の成長を遂げているとのことだ。より多くのエンドユーザー企業が導入を加速しているという。
こうした状況を受けて、同社はAPAC地域への投資を追加する方針を示した。資金および人員を昨年比で2倍にまで増加するとしている。また、学習コンテンツは日本語、中国語、韓国語を中心にローカライズを進める。
これまで、日本企業におけるSAFeの導入は、海外で展開中の外資系企業の日本支社での導入例が多かったようだ。そのほか、日本企業の海外拠点での導入が先行し、国内事業所が遅れて導入する例などもあったという。
これに対し、日本のカントリーマネージャを務める古場達朗氏は「今後は他のSAFeコースもローカライズおよび日本語版の公開を進め、日本支社が海外本社と同期しながら本格導入できるような体制を目指す。また、これまではIT部門を中心にSAFeを導入する傾向が見られたが、今後はビジネス部門も一緒に導入を検討できるよう支援したい」と力強く述べていた。
古場氏はさらに「日本市場においては、今後3年間で50社への導入と計1万人の受講者を目指して活動中だ。今回のように日本語版の学習コンテンツをさらに増加することで、この目標を上回ってさらに上方修正していけたら」との意気込みも見せていた。