リコーは8月30日、日本のmRNA(メッセンジャーRNA)医薬品の創薬市場の活性化に向けて、「リコー バイオメディカル スタートアップ ファンド」を9月に設立し、創薬事業を行う国内スタートアップ企業の研究開発の支援を開始することを発表した。
同ファンドは、ベンチャーラボインベストメントをGP(General Partner:無限責任組合員)とし、日本国内の有望なスタートアップ企業に対して投資を行う。スタートアップの発掘および育成を行うとともに、リコーの強みとスタートアップが持つ技術やノウハウを組み合わせることで、日本国内におけるmRNAを用いた創薬基盤の整備を加速し、人々の健康と安心への貢献を目指すとのことだ。
リコーは7月末にmRNA医薬品のCDMO(医薬品受託製造)事業を行うエリクサジェン・サイエンティフィックの子会社化を完了し、同社の事業をリコーが持つ生産工程の自動化技術や生産管理ノウハウで支援することで、mRNAを用いた創薬事業の規模拡大を進める。これに続き、同ファンドの設立によって創薬スタートアップ企業の支援を通じた国内創薬基盤の構築を進めるとしている。
新型コロナウイルス感染症のワクチン開発で注目を集めたように、mRNAを用いた創薬は、特定の遺伝子情報の一部をコピーするなどによって短時間で効果のある配列の設計が可能だと考えられる。従来の医薬品と比較して研究開発期間を短縮できると期待されるため、ワクチンやがん治療薬としても有望だ。
一方で、現時点では創薬の早期段階におけるスタートアップ企業への資金供給が十分ではない上、日本国内におけるmRNAを用いた創薬拠点が少なく、経済安全保障の観点からも日本国内における創薬基盤の構築が急務となっている。
同社は新たに設立するファンドの活動を通じて、mRNAを用いた創薬に関する知見や技術を深めながら、日本国内における市場の拡大に貢献し、基礎研究や前臨床にとどまらず、mRNAを用いた創薬支援におけるプラットフォーマーを目指すとしている。