パーソル総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の第7波感染拡大下におけるテレワークの実態を定量的に把握することを目的に、2022年7月13日~7月18日に2万人規模の調査を実施し、その結果を取りまとめ発表した。同社の新型コロナ下における2万人規模のテレワーク調査の結果は今回で7回目となる。

同調査結果によると、第7波の傾向が顕著になった2022年7月13日~7月18日時点でのテレワーク実施率は、正規雇用社員(正社員)で25.6%。今年2月の第6波の28.5%から微減した。

  • 新型コロナウイルス感染者数とテレワーク実施率の推移(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    新型コロナウイルス感染者数とテレワーク実施率の推移(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

また、2022年5月、6月、7月のテレワーク頻度を聴取すると、7月は5月と比較してテレワーク頻度が約2分の1に減り、「実施していない」が11.6ポイント増加した。

  • 2022年5‐7月のテレワーク頻度の推移(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    2022年5‐7月のテレワーク頻度の推移(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

テレワーク実施率を雇用形態別に見ると、正社員の25.6%に対し、非正規雇用の契約社員・嘱託社員は15.0%、派遣社員は18.8%、パート・アルバイトが5.9%だった。公務員・団体職員は13.4%。企業規模別でみてみると、従業員数10人~100人未満で14.2%、1万人以上で41.2%。すべての規模の企業で2月の第6波時点から減少傾向が見られたという。

  • 雇用形態別テレワーク実施率 出典:パーソル総合研究所

    雇用形態別テレワーク実施率 出典:パーソル総合研究所

  • 企業規模別テレワーク実施率の推移(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    企業規模別テレワーク実施率の推移(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

業種別では、情報通信業が最上位で60.0%、学術研究・専門技術サービス業が36.9%と続く。一方で、医療・介護・福祉業は7.3%、宿泊・飲食サービス業は12.8%と依然として低いままだった。職種別の実施率は、Webクリエイティブ職で70.1%、コンサルタントが68.4%と高い。

  • 業種別テレワーク実施率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    業種別テレワーク実施率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

  • 職種別テレワーク実施率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    職種別テレワーク実施率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

都道府県別では、東京が44.6%で1位。2位が神奈川県で37.7%。2月の第6波時と比較すると、47都道府県のうち39都道府県で減少が見られた。

  • 都道府県別テレワーク実施率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    都道府県別テレワーク実施率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

またテレワークに関する企業方針は、テレワーク推奨+命令の合計で33.3%となり、2月の第6波の38.6%から5.3ポイントマイナスだった。2020年の4月以降で最低の数値を記録した。

  • 企業のテレワーク方針(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    企業のテレワーク方針(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

一方でテレワーク実施者のテレワーク継続意向は80.9%。2022年2月調査時点の80.2%から微増し、過去最高となった。

  • テレワーク継続希望率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

    テレワーク継続希望率(正社員ベース) 出典:パーソル総合研究所

パーソル総合研究所 上席主任研究員の小林祐児氏は、同調査結果を受け、「働き方やコミュニケーションの工夫が少ないままに『自社にはテレワークは合わない』と働く選択肢を狭めてしまえば、従業員の気持ちは離れてしまうだろう。このまま多くの日本企業がテレワークを忘れていくのか、それともテレワークを前提として働き方を変えていけるのか、今がまさに分水嶺と言える」と提言している。