日本オラクルは8月8日、クラウド・アプリケーション事業に関する戦略説明会を開催した。同社は、クラウドプラットフォーム「Oracle Cloud Infrastructure」とクラウド・アプリケーション・スイート「Oracle Cloud Applications」をソリューションの柱としている。
キャズムを超えた2022年度のビジネス
常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 善浪広行氏は初めに、前年度のOracle Cloud Applicationsのビジネスについて、「2ケタ成長を継続し、キャズムを超えた一年だった」と語った。
2022年度はパナソニック、ホンダなど大手企業でOracle Cloud Applicationsの導入が進んだが、2023年度も三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険などにおける導入が発表されている。当日は、サンフロンティア不動産における「Oracle Cloud ERP」の導入が発表された。
善浪氏は2022年度の取り組みとして、新しいユーザー会の発足を紹介した。同社はOracle Applications製品群のユーザー会として「日本OATUG」を立ち上げているが、今回、「ERP/EPM Cloud SIG」と「CX Cloud SIG」がそのラインアップに加わった。今後は、HCMのユーザー会の立ち上げが計画されているという。
クラウド・アプリケーション事業の重点施策の4つの柱
7月に開催された三澤社長による事業戦略説明会では、昨年の施策を軸とした成長戦略が発表されたが、クラウド・アプリケーション事業の戦略もそれに則る形となる。
善浪氏は「前年度と同様、Society(世間)、Customer(買い手)、Partner(仲間)、Oracle(売り手)の四者にとってすべてメリットがある『四方良し』を目指す。事業戦略の柱も前年と同じであり、これまでやってきたことを深めていく」と語った。
クラウド・アプリケーション事業では、「真のデジタル・トランスフォーメーション(DX)実現を支援」「顧客との多角的なエンゲージメントの深化」「パートナー・エコシステムの強化」「顧客とパートナーを支える体制の強化」を重点施策としている。
パートナー重視の姿勢、色濃く
4つの重点施策において、目立っているのは「パートナー」の存在だ。「DXの実現支援」においては、オラクルの経営プラットフォームとプロジェクトを成功させる導入方法論に、パートナーと一体となった支援をあわせて提供していく。「DXにSaaSを取り込み、変化に取り組んでいくことに意義があると考えている。そうした観点で、日本に貢献していく」と善浪氏。
顧客とのエンゲージメントの深化に関しては、先に紹介したユーザー会を拡大するとともに、本社製品開発チームの支援を受けられる仕組みを作る。例えば、日本の要件に基づいた新機能を実装するため、本社開発部門に専任日本社員がアサインされたという。
加えて、善浪氏は「パートナー・エコシステムの強化」「顧客とパートナーを支える体制の強化」に投資をして、「大きくやろうとしている」と語った。
「顧客とパートナーを支える体制の強化」としては、パートナーと新しいビジネスを創出できるよう、事業戦略部門とインダストリーソリューション推進組織を新設した。
大規模なシステムを抱えている顧客などを担当する上級職を設けて、そのための人材を採用するなど、優秀な人材を積極的な採用や活用も進めている。
さらに、営業を支援するコンサル、技術者、カスタマーサクセスマネージャー、SEへの投資を深めることで、「四方良し」への正しい道を開くとしている。