ラクスは8月2日、全国の経理担当者848人を対象に実施した「インボイス制度及び改正・電子帳簿保存法に関する意識調査」の結果を発表した。
これによると、2023年10月より施行されるインボイス制度について、「名称は知っているが、どのような内容か知らない」と回答した企業が19.3%、「名称も内容も知らない」と回答した企業が18.0%となり、計37.3%が「インボイス制度を知らない」と回答した。2022年3月の同調査においても同様の回答割合が37.1%となり、横ばいの状態になっていることが明らかになった。
また、適格請求書発行事業者登録について「既に登録している」と回答しているのが38.4%。残りの61.6%の企業は未登録という結果となった。2023年10月のインボイス制度開始から登録を受けるためには、2023年3月末までに適格請求書発行事業者登録申請を行う必要があるため、早期に対応を行う必要がある。
さらに、取引先が適格請求書発行事業者ではない場合、「取引を継続しない」と回答した企業の割合が7.0%。「継続するか検討する」と回答した企業の割合が55.7%という結果となった。適格請求書発行事業者登録をしているかどうかは、請求書受取側(買い手側)にとって、仕入税額控除を受けることができるかの重要なポイントとなるため、今後の取引獲得や継続に大きな影響を与えると同社は予測している。
一方で、施行して6カ月が経過した電子帳簿保存法の対応状況の進捗状況はどうだろうか。
同調査結果によると、「電子帳簿保存法に則して運用している」と回答した企業は23.3%となり、残りの76.7%の企業が運用できていない事が明らかになった。
従業員規模ごとに見てみると、従業員規模300~1,999人の企業のうち「電子帳簿保存法に則して運用している」と回答した割合は32.0%であることに対し、従業員規模30~299人の企業の同回答割合は18.9%という結果に。中小企業の対応遅れが顕在化してきていることが判明した。
さらに、電子取引関係書類の保存方法に対しては、「猶予期間が設けられたので、電子で受け取った請求書を、従来通り紙に印刷し保存している」と回答した企業の割合が3割を超えた。また、「取引先に紙での請求書発行に切り替えてもらい、紙の請求書を保存している」と6.3%の企業が回答。電子帳簿保存法への理解浸透にもまだまだ課題がある。
2023年10月にインボイス制度が開始し、その直後の2023年12月末に電子帳簿保存法の「電子取引データ保存の義務化」の猶予期間が終了となり、全企業の対応が必須となる。今まさに各法制度への対応準備は重なっている状況となり、企業側は各法制度に対して準備を進めることが求められると同社は指摘している。