東京大学(東大)は7月27日、「コロイド量子ドット太陽電池」を用いた波長分割3接合太陽電池を作製し、赤外吸収太陽電池を用いた多接合太陽電池として変換効率30%超を達成したと発表した。
同成果は、東大 先端科学技術研究センター(RCAST) 附属産学連携新エネルギー研究施設の久保貴哉特任教授、RCAST 新エネルギー分野の岡田至崇教授、東大 教養学部 附属教養教育高度化機構の王海濱特任講師、東大大学院 総合文化研究科 広域科学専攻の瀬川浩司教授(RCAST エネルギー環境分野兼務)らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行するエネルギーに関する全般を扱う学術誌「ACS Energy Letters」に掲載された。
コロイド量子ドット太陽電池は、塗布製造できる低コストの赤外吸収太陽電池であり、ウエットプロセスであるため、太陽電池基材の選択の自由度が高く、軽量で屈曲性のある太陽電池の作製が可能という特徴がある。
また、III-V族化合物2接合太陽電池(InGaP/GaAs)薄膜を基板からはがすリフトオフ技術の進展により、高価な基板の再利用が可能になり、高効率を維持しつつ低コスト化が見通せるようになっており、汎用性が高くなることが期待できるという。
そこで研究チームは今回、酸化亜鉛(ZnO)ナノワイヤと硫化鉛(PbS)コロイド量子ドットを組み合わせ、コロイド量子ドット太陽電池を作製することに挑戦。
実際に、太陽光で生じたキャリアの輸送特性を維持しながら、光吸収量の増加を実現することに成功したという。