プロセスマイニング製品を提供するCelonisはこのほど、説明会を開催し、「CoE(Center of Excellence)が主導するビジネストランスフォーメーション」「CoE のベストプラクティス」などを紹介した。

昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)の注目度が高まるとともに、その推進組織として、 CoEという言葉を耳にする機会が増えている。CoEは、組織内の優秀な人材やノウハウなどのリソースを集約した横断組織であり、目的・目標を達成するために効率化・スピードアップを図ることを目的としている。CoEは、どうやって作り上げて行ったらよいのだろうか。

変革を進めるのは人、その核となるのがCoE

Celonis 代表取締役社長 村瀬将思氏は、「これからは、中期経営計画からビジネスのプライオリティを下ろして、ビジネスオペレーションを定義していく必要がある。あわせて、業務システムからデータを収集して分析を行うことで、全社で最適化していく。日本企業は個別最適にとどまっている」と、企業が変革に取り組む中で必要なことを説明した。

  • Celonis 代表取締役社長 村瀬将思氏

同社のプロセスマイニングプラットフォーム「Celonis Execution Management System」は複数部門にわたるプロセスを可視化し、改善すべき点を明らかにする。「高い視座からの全体最適を行って、村社会から脱却すべき」と村瀬氏は語った。

  • 「Celonis Execution Management System」は複数プロセスを可視化することで改善点を浮き彫りにする

さらに、村瀬氏は「変革を進めるのはテクノロジーではなく人。会社のトップタレントを集めて 叡智を結集させたCoEが核となる。CoEには、テクノロジーでビジネスを改善する仲間を集める」と述べた。

CoEの役割、運用モデル、組織構成のパターンとは?

Celonis VP 組織改革担当のラース・ラインケマイヤー氏からは、「CoEの役割と責任」「CoEの成功要因」「CoEの運用モデル」の説明が行われた。

  • Celonis VP 組織改革担当のラース・ラインケマイヤー氏

CoEには「カタリスト」「エバンジェリスト」「イネーブラ」としての役割がある。同社は、一定の条件をクリアした顧客からすぐれたCoEを選出して「チャンピオンズ・リーグ」として讃えているが、チャンピオンの1社であるノキアは「特にエバンジェリストが重要」と語っていたという。

  • CoEの3つの役割

また、CoEの成功要因としては、「チーム」「組織体制」「運用モデル」が紹介された。チームに関しては、役割、編成、能力に関するディスカッションを実施する必要があり、組織体制に関しては、エグゼクティブ・スポンサーを特定し、組織体制を定義する必要がある。運用モデルに関しては、評価と最適な選択肢を定義する。

そして、同社が、CoEを設けている200以上の顧客を対象に実施した調査では、100%の顧客がCoEに満足しており、ROIが8.8倍に増えたことが明らかになったそうだ。

  • Celonisが実施したCoE調査から得られた知見

運用モデルに関しては、「分散型またはビジネスユニット(BU)による運営」「ハイブリッド/フェデレーション」「中央集権型」の3種類がある。これらのうち、変革の成功度が最も高いのは中央集権型だという。ラインケマイヤー氏は「ハイブリッドから入っていくのがよいのではないか」とアドバイスしていた。

  • CoEの3つの運用モデル

組織構成のパターンとしては、「ITリード」「シェアードサービス」「ホールディング・ストラクチャ/プライベート・エクイティ」「ビジネスリード」「インハウスコンサルティング」「チーフ・デジタル・オフィサーリード」がある。同社の顧客はすべてのパターンにわたっており、DXのパターンに応じて変わってくるそうだ。

  • CoEの組織構成のパターン

プロセスマイニングで日本社会を元気に

村瀬氏は、国連が実施した調査において、日本は世界経済で第3位であるにもかかわらず、幸福度指数が第40位であることを憂え、「Celonisのプロセスマイニングによって、日本を元気にしたいと考えている。われわれは強い使命感を持っている」と語っていた。

同社は、「プロセスマイニングとData Executionにより、人々の働き方を変え、持続可能性を担保し、人々と社会のパフォーマンスを無限大に開放すること」をパーパスとして定めている。

村瀬氏は国内における活動として、「Celonisエグゼクティブ情報交換会」(Japan CXO Club)と「Celonisユーザー会」を紹介した。情報交換会は四半期に1回開催されており、ユーザー、非ユーザーを問わずビジネス変革の中枢を担うエグゼクティブを招待し、「ポストコロナに向けた新しいビジネスオペレーション」とは何か、海外も含めた最新事例の共有などを行っているという。

また、ユーザー会では、Celonisを自社のビジネス効率化基盤として活用するための情報交換を行い、相互の利用技術の向上を目指すとともに、ユーザー企業の真のビジネス変革を狙う。

今年6月に開催された第3回Japan CXO Clubでは、これまでは海外事例の紹介をしていたところ、国内企業が自社の事例を紹介してくれたそうだ。

村瀬氏は、エグゼクティブが語る共通のキーワードとして、「全体最適」「モダナイゼーション」「組織改革」「足元のレガシー」を挙げ、「モダナイゼーションの流れの中で、全社最適化をどうするか。標準化するしかない。そんなことをエグゼクティブは話している」と語っていた。