米Dropboxの日本法人であるDropbox Japanは7月8日、日本国内の20歳から69歳の男女1500名を対象に実施した「Future of Work(ニューノーマルの働き方)調査」の結果を発表した。調査期間は2022年4月7日から10日。最初の緊急事態宣言から2年が経過した現在、人々の働き方や価値観の変化について明らかにした。

リモートワークの現状と効果

同調査結果によると、調査時点において「リモートワークを全く実施していない」と回答した人は、70.4%の1056名だった。一方、理想的なリモートワークの頻度を聞いたところ、全体の40%以上が週に1日以上のリモートワークの導入を希望していることが分かった。

  • (設問)あなたは現在どのくらいの頻度でリモート勤務を行っていますか。 また理想的な頻度についてもお答えください。※現状、リモート勤務を実施されていない方も、もし実施するとしたらとしてお考えください。(単一回答) 出典:Dropbox Japan

    (設問)あなたは現在どのくらいの頻度でリモート勤務を行っていますか。 また理想的な頻度についてもお答えください。※現状、リモート勤務を実施されていない方も、もし実施するとしたらとしてお考えください。(単一回答) 出典:Dropbox Japan

また、リモートワークを実施する層(444名)に対して、満足している点を聞いたところ、「通勤時間などの短縮」(54.7%)、「自分のペースで仕事ができる」(45.9%)、「時間や場所の制約がない(30.2%)」の3項目が上位に挙がった。この傾向は特に女性回答者が顕著で、中でも30代では12~18ポイントほど平均を上回っている。

  • (設問)リモートワークで勤務を行うにあたり、あなたが満足している点としてあてはまるものをすべてお知らせください。(複数回答) 出典:Dropbox Japan

    (設問)リモートワークで勤務を行うにあたり、あなたが満足している点としてあてはまるものをすべてお知らせください。(複数回答) 出典:Dropbox Japan

対して、リモートワークの不満点としては、「プライベートと仕事のメリハリがつかない(30.6%)」が一番多く、「水道光熱費・食費などが上がった(29.7%)」「印刷ができない(24.3%)」と続いた。

なお、全体の割合はそこまで高くないものの、性や年代別の特徴が出ている項目としては「仕事と並行して家事や育児をしなければならない(子どもがいる女性の30.4%、30代男性の22.2%)」が挙げられた。

  • (設問)リモートワークで勤務を行うにあたり、あなたが不満に思っている点としてあてはまるものをすべてお知らせください。(複数回答) 出典:Dropbox Japan

    (設問)リモートワークで勤務を行うにあたり、あなたが不満に思っている点としてあてはまるものをすべてお知らせください。(複数回答) 出典:Dropbox Japan

また、リモートワークにおける会社のサポートについても調査を行った。既に導入されており充実しているものとして、「チャットやオンライン会議システム(47.1%)」、「ファイルアクセス(36.9%)」、「セキュリティ対策(30.2%)」が上位に挙がった。

一方で、サポートが足りていないと感じるものは、「自宅の就労環境を整備するための補助金(30.8%)」、「ワーケーションなど自由な働き方を奨励する制度(25.9%)」、「仕事の成果に基づいて働き方を評価する仕組み(17.3%)」と続く。

  • (設問)リモートワークにおける会社からのサポートについて、あてはまるものをそれぞれすべてお知らせください。(1)既に勤務先で導入されているもの(2)既に勤務先で導入されており、十分整備されているもの(3)既に勤務先で導入されているが不十分であると感じるもの(4)勤務先では導入されておらず、導入してほしいと思うもの(複数回答) 出典:Dropbox Japan

    (設問)リモートワークにおける会社からのサポートについて、あてはまるものをそれぞれすべてお知らせください。(1)既に勤務先で導入されているもの(2)既に勤務先で導入されており、十分整備されているもの(3)既に勤務先で導入されているが不十分であると感じるもの(4)勤務先では導入されておらず、導入してほしいと思うもの(複数回答) 出典:Dropbox Japan

ワークライフバランスと幸福度

仕事とプライベートのバランスに着目すると、仕事の比重が高い層(ワーク寄り:47.9%)がプライベートの比重が高い層(ライフ寄り:25.5%)の約2倍と、全体的に仕事寄りの傾向が高い結果となった。

  • (設問)現在のあなたのワークライフバランスは、ワーク(仕事)とライフ(私生活)どちらにより比重が置かれていますか 出典:Dropbox Japan

    (設問)現在のあなたのワークライフバランスは、ワーク(仕事)とライフ(私生活)どちらにより比重が置かれていますか, 出典:Dropbox Japan

ここにはコロナ禍の前後で変化が見られる。コロナを経て現在ではワーク寄りの人は52%から47.9%とわずかに減少、ライフ寄りの人は22.4%から25.5 %と微増しており、全体的に若干プライベートを重視する方向に傾いている。

特に変化が顕著なのは、リモートワークを3日以上行っている層と、経営者・役員クラスで、それぞれワーク寄りの比率が約20ポイント、約10ポイント減少していた。

  • (設問)コロナ禍以前のあなたのワークライフバランスは、ワーク(仕事)とライフ(私生活)どちらにより比重が置かれていましたか 出典:Dropbox Japan

    (設問)コロナ禍以前のあなたのワークライフバランスは、ワーク(仕事)とライフ(私生活)どちらにより比重が置かれていましたか 出典:Dropbox Japan

また、ワークライフバランスに対する回答者の幸福度は、10段階でともに平均5.3と、コロナ禍前後で変化が見られなかった。

  • (設問)あなたの現在のワークライフバランスに対する幸福度を表すと、どのくらいになりますか。※「幸せを感じる」を「10」、「幸せを感じない」を「0」としてお知らせください。(単一回答) 出典:Dropbox Japan

    (設問)あなたの現在のワークライフバランスに対する幸福度を表すと、どのくらいになりますか。※「幸せを感じる」を「10」、「幸せを感じない」を「0」としてお知らせください。(単一回答) 出典:Dropbox Japan

現在のワークライフバランスに関する幸福度が高いと回答したのは全体の32.9%で、コロナ禍以前(30.9%)と比較すると微増傾向にある。しかし、リモートワーク実施が週3~4日の層は41.1%からセグメント別トップの51.4%、全日の層は30.8%から46.2%と、週3日以上でリモートワークを行う層は、コロナ禍を経て顕著に幸福度が高まっていることが分かった。

  • (設問)あなたのコロナ禍前のワークライフバランスに対する幸福度はどの程度ですか。※「最も幸せを感じる」を「10」、「全く幸せを感じない」を「0」としてお知らせください。(単一回答) 出典:Dropbox Japan

    (設問)あなたのコロナ禍前のワークライフバランスに対する幸福度はどの程度ですか。※「最も幸せを感じる」を「10」、「全く幸せを感じない」を「0」としてお知らせください。(単一回答) 出典:Dropbox Japan

Dropbox Japan 代表取締役社長の梅田成二氏は、「コロナの収束が見えてきた昨今、通常の勤務体制に戻る会社もあれば、原則として在宅勤務に舵を切った会社も出ててきた。働き方は業種、業態等によって変わるので、その理想形は各社の経営陣が考えるべきものだが、少なくとも経営陣はこうした変化と現実を見据えた上で、会社の仕組みや制度をアップデートしていかなければならない」とコメントしていた。