ガートナージャパンは6月16~17日、「2022 Application Innovation & Business Solutions Summit - Japan」をオンラインにて開催した。基調講演「未来を描き、変化を創造せよ」には、ガートナージャパン シニアディレクター アナリストの飯島公彦氏、ガートナー バイスプレジデント アナリスト マーク・オニール氏が登壇。ビジネスをテクノロジー駆動に変革させる必要性や、その際押さえるべきポイントなどについて説明した。

  • ガートナージャパン シニアディレクター アナリストの飯島公彦氏

  • ガートナー バイスプレジデント アナリスト マーク・オニール氏

ビジネスをテクノロジー駆動型にできているか

冒頭、飯島氏は「『全ての企業は、テクノロジー・カンパニーになる』というメッセージをガートナーが発表してから5年以上が経ち、これが現実のものになっている」と、現在の状況を述べる。テクノロジーの役割は何かを効率化することではなく、ビジネスそのものを実現するためのものに変化したのだ。当然、既存のビジネスもテクノロジー駆動型に変革する必要がある。では、実態はどうなのだろうか。

経営者はテクノロジーでビジネスを成長させたいと考えているものの、テクノロジーに詳しいわけではない。一方、テクノロジーに詳しいIT部門の人々は、ビジネスの成長を実現することには慣れていない。つまり、「ビジネスをテクノロジーで駆動する専門家がいない状況に陥りがち」だと飯島氏は指摘する。同氏はこのような状況への危惧を示しつつ、テクノロジーによるビジネス駆動のためにはまず、「この変革は企業全体、社員全体で考えるべきことだ」という認識を持つべきだと強調。そして、これまでテクノロジーで業務を効率化することを主としてきたIT部門の人々の役割も大きく変化してきており、ビジネス変革の主人公となるのは「デジタル人材」であると説明した。

課題はデジタル人材の確保 - 「開発の民主化」を実現するには?

ガートナーが行った調査「Gartner Emerging Technology Roadmap for Large Enterprises」では、「望む人材を確保できないことが最新テクノロジーの適用における最大の障壁である」と回答した企業が64%と、多くの企業がデジタル人材の確保に苦心していることが分かっている。飯島氏はデジタル人材に必要な能力を、「ビジネス・デザイン能力」「橋渡し能力」「テクノロジー・デザイン能力」だと言う。

「テクノロジー・カンパニーを目指す企業において、デジタル人材を求める声は増えています。しかし、優秀な人材を招いたり、引き留めたりすることはどんどん難しくなっています。デジタル人材をいかに企業に惹きつけるか、留めておくか、進化させるかがデジタル変革の重要なポイントなのです」(飯島氏)