カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD: University of California, San Diego)は6月10日(米国時間)、「Bluetooth signals can be used to identify and track smartphones」において、新たな研究によってBluetooth信号を利用してのスマートフォンのトラッキングが技術的に可能であることを伝えた。スマートフォンから絶えず発信されているBluetooth固有の信号で個人の追跡が可能であることを実証できたという。
UCSDのエンジニアチームはBluetooth信号に含まれる2つの異なる値を推定するアルゴリズムを開発し、周囲にあるBluetooth信号全体を受信して追跡する手法を考案した。
実証実験では、コーヒーショップなどの公共エリアで検出された162台のモバイルデバイスのうち、40%が一意に識別可能であることが証明された。さらに2日間にわたって647台のモバイルデバイスを検出したところ、47%のモバイルデバイスに固有のBluetoothフィンガープリントがあることがわかったと報告している。
エンジニアチームはこのトラッキング手法はBluetoothを無効に設定しておくだけでは回避できないと指摘。一部のAppleデバイスはコントロールセンターからBluetoothをオフに設定しても、Bluetooth信号が引き続き送信されていたという。トラッキングを完全に回避する唯一の方法はスマートフォンの電源を切ることと説明されている。しかしながら、実際のところ、実社会においてスマートフォンの電源を常にオフにしておくことは現実的ではない。
なお、この手法におけるユニークなデバイスであることを示すBluetoothフィンガープリントを特定するトラッキング能力は低い。また、エンジニアチームはこのトラッキング手法を成功させるには複数の課題があるとも指摘している。
例えば、周囲の温度が変わるとBluetoothフィンガープリントが変化すること、機種によって異なる電力でBluetooth信号を送信するため追跡可能な距離が変わることなどが挙げられている。加えて、このトラッキング手法を悪用するには高度な専門知識が必要なため、一般に広く普及される可能性は低いとも述べている。