日本オラクルは5月27日、同社のクラウドプラットフォーム「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のアップデートに関する説明会を開催した。初めに、 事業戦略統括 事業開発本部 本部長 佐藤裕之氏が、企業におけるクラウド移行の傾向について説明した。
佐藤氏によると、同社の顧客のクラウド移行はデータベースにとどまることなく、基幹システムにまで広がっているという。同氏は、昨今のクラウド移行のトレンドとして、「内製化」と「基幹システム」を挙げた。
その一例になるが、同日、SBS東芝ロジスティクスが基幹システムのクラウド移行にOracle Cloud VMware Solutionを導入したことが発表された。
「Oracle Cloud VMware Solution」は、オンプレミス環境と同等のVMware環境の管理運用性をクラウドで提供し、OCIとのシームレスな統合を実現する。
SBS東芝ロジスティクスは他社のクラウドのVMware Solution環境で運用してきた35サーバからなる業務システム群のOCIへの移行を6カ月で完了したという。
佐藤氏は、「顧客の手でイニシアティブをもって移行するケースが増えてきていると考えられる。こうした中、顧客のクラウドに関するナレッジを蓄積することが重要。そこで、われわれはクラウド移行を支援するサービス、Oracle Cloud Infrastructureの学習プログラムを無償で提供している。認定試験は期間限定で無償提供していたが、顧客の要望により、引き続き、一部を無償で提供することに変更したと説明した。
今回、2021年12月~2022年5月における主なアップデートとして、以下の4点の紹介が行われた。
- Oracle Exadata Cloud Infrastructure X9M
- Oracle Cloud Infrastructure
- Oracle Cloud VMware Solution
- Cloud Security
Oracle Exadata Cloud Infrastructure X9M
「Oracle Exadata Cloud Infrastructure X9M」はパブリッククラウドデータベースプラットフォームであり、X8Mと同一価格ながら、X8Mと比較して、データベースコアが2.5倍、ストレージが28%、アプリケーションサーバークライアントへの帯域幅が2倍となっている。
Oracle Cloud Infrastructure
「Oracle Cloud Infrastructure」に関しては、3月16日にコンピュート、ストレージ、ネットワーキングに関して、11個の機能拡張が発表された11個の機能のうち、6個は既にリリースされているが、残りの機能も年内にリリースされる予定だという。
また、東京および大阪の2つのリージョンで、2022年4月1日に運用開始した学術情報ネットワーク「SINET6」に接続済みであることも紹介された。
Oracle Cloud VMware Solution
前述したが、「Oracle Cloud VMware Solution」は、オンプレと同じVMware vSphereの環境をOCIで使うことを可能にするサービスで、運用やセキュリティに関しても、同じツール、セキュリティ構成、ポリシーの設定を利用することができる。
世界で37のリージョンを利用することができるが、事業戦略統括 事業開発本部 シニアマネージャー 近藤暁太氏は「他社の同様のサービスに比べて、利用できるリージョンが多いと思う」と語っていた。
近藤氏は、「Oracle Cloud VMware Solution」と他社の類似サービスとの違いについて、次のように説明した。
「Oracle Cloud VMware Solutionは、顧客のネットワーク空間とVM環境も含まれ、これらに対し、管理権限を持つことができる。そのため、オンプレミスのVMのサーバがあるネットワーク構成をそのままクラウドに移すことができる。その結果、移行にまつわるコストとリスクを下げることが可能でAir、同じネットワークにあるので、サービスとの連携も容易」
「Oracle Cloud VMware Solution」は4月にspring releaseが発表された。柔軟性、セキュリティ、管理性、VMware製品との連携の点で強化が行われた。
例えば、柔軟性に関しては、利用可能なサーバやストレージの種類が増えており、32コア・64コア・128コアの構成で利用可能なAMD EPYCプロセッサを備えた新しい3つのE4 Dense Computeシェイプされた。
Cloud Security
事業戦略統括 事業開発本部 シニアマネージャー 大澤清吾氏は、OCIのセキュリティのコンセプトについて、「セキュリティをビルトインするというコンセプトの下、OCIの標準機能として組み込むことに注力しており、データからエッジまでの多層防御を提供している」と述べた。
OCIのセキュリティに関しては、5月24日に、5つのサービスが発表された。発表されたサービスは以下の通りだ。
- OCI Network Firewall
- Oracle Security Zones
- Oracle Threat Intelligence Service
- Oracle Cloud Guard Threat Detector
- Cloud Guard Fusion Applications Detector
5つのサービスのうち、OCI Network Firewall以外はすべて無償で利用できる。