NTTデータ経営研究所と京都市は5月30日、公民連携・課題解決推進事業「KYOTO CITY OPEN LABO」において、四条通沿道のタクシーの駐停車マナー向上を目的として、2月15日~17日の14時~16時の間に行った、「ナッジ」を活用した実証実験の結果を発表した。

「ナッジ」とは、行動科学の知見を活用して、人々のより良い行動を後押しする政策手法のこと。禁止や罰金を設定せずに、人間の意思決定特性(認知バイアスなど)を踏まえた「ちょっとした工夫」で、人々の行動に変化を起こす点に特徴があるという。

今回、実証実験が行われた四条通は、一部のタクシーによる交差点や横断歩道付近での客待ちや駐停車禁止の四条通本線上での客待ち停車などの道路交通法違反が多く発生しており、そのような行為が、近隣バス停におけるバス発着の妨害や渋滞を発生させるなどの要因となっていた。

これを解決するために行われた今回の実証実験では、窓枠から違法駐車のタクシーが見えるという看板と、タクシー乗り場の整列のための順番を表すのぼりが活用された。その結果、「交差点付近での違法な客待ち停車の削減」「タクシー乗り場における本来の規定台数を超過した車両の削減」という2点の効果が確認された。

  • 窓枠から違法駐車のタクシーが見える看板

  • タクシー乗り場の整列のための順番を表すのぼり

「交差点付近での違法な客待ち停車の削減」に関しては、ナッジの知見を活用した看板を四条河原町交差点南東角に設置した結果、看板設置前に比べ、設置後では、一日あたりの違法停車時間の合計が約9割減少したという。

また「タクシー乗り場における本来の規定台数を超過した車両の削減」に関しては、ナッジの知見を活用した看板を四条通沿道タクシー乗り場2カ所に設置した結果、フラッグ設置前に比べ設置後では、規定台数を超過して停車する台数が,1日当たり西行で約7割、東行で約3割減少したとのことだ。