総務省は5月27日、令和3年通信利用動向調査の結果を発表した。同調査により、企業のクラウドコンピューティング、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などのサービス利用状況、セキュリティ対策の実施状況を明らかにした。

同調査によると、一部でも利用している企業の割合は、右肩上がりで上昇しており70.4%に達した。クラウドサービスの種類別にみると、「ファイル保管・データ共有」の割合が61.0%と最も高く、次いで「電子メール」(52.6%)、「社内情報共有・ポータル」(52.0%)となっており、「営業支援」や「生産管理」などの高度な利用は低水準にとどまっている。

クラウドサービスを利用する理由は、「場所、機器を選ばずに利用できるから」(50.2%)が最も高く、次いで「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(41.7%)となった。導入効果については「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」とする企業の割合は88.2%だった。

  • 企業のクラウドサービスの利用状況 出典:総務省

    企業のクラウドサービスの利用状況 出典:総務省

一方でデジタルデータの収集・解析などのため、IoTやAIといったシステムやサービスを導入している企業の割合は14.9%となっており、導入予定の企業を含めると26.5%となった。導入する目的は「効率化・業務改善」が 86.8%と一番高く、次いで、「顧客サービスの向上」(38.6%)、「事業の全体最適化」(24.9%)となった。

データ収集・解析のシステムやサービスの導入効果をみると、「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が83.4%とクラウドサービスにやや劣る。構成する機器は「監視カメラ」が30.8%と最も高く、次いで、「物理セキュリティ機器」(29.5%)、「センサー(温度センサー、圧力センサーなど)」(29.5%)となっている。また、導入機器のネットワーク回線は「有線」が 68.9%と最も高いことが分かった。

  • 企業のIoT・AIなどによるデジタルデータの収集・利活用状況 出典:総務省

    企業のIoT・AIなどによるデジタルデータの収集・利活用状況 出典:総務省

セキュリティ被害についての調査結果もある。過去1年間の情報通信ネットワークの利用の際、「何らかのセキュリティ被害を受けた」企業が52.4%となっており、被害内容は「標的型メールの送付」が33.1%と最も高く、次いで「ウイルスを発見又は感染」(31.1%)となった。

セキュリティについて、「何らかの対策を実施している」企業の割合は 98.1%に達し、対応内容は「パソコンなどの端末(OS、ソフトなど)にウイルス対策プログラムを導入」が83.1%と最も高く、これに「サーバにウイルス対策プログラムを導入」(61.6%)、「ID、パスワードによるアクセス制御」(57.0%)と続いている。