米半導体大手Broadcomは5月26日(現地時間)、クラウドサービス・仮想化技術の米VMwareを買収することで合意したと発表した。
Broadcomは現金と株式交換を組み合わせてVMwareの発行済株式の全てを取得する。VMwareの純負債80億ドルも引き受ける予定。5月25日のVMware株の終値で評価した買収額は約610億ドル。今年1月にMicrosoftが発表したゲーム大手Activision Blizzard買収(687億ドル)や、2015年発表のDell Technologies(旧Dell)によるEMC買収(670億ドル)に次ぐ規模になる。
2015年にDellがEMCを買収した際に当時EMC傘下だったVMwareもDell傘下になったが、Dellと競合するベンダーとの関係構築も必要なVMwareは2021年にスピンオフされた。
Broadcomは無線および通信インフラ向けの半導体製品を提供する半導体ベンダーとして知られる。2016年にネットワーク機器製造のBrocade Communications Systemsの買収を発表。2017年にQualcommの買収に乗り出したが、シンガポールに登記上の本社を置いていたことから米国で大統領令によって阻止されて断念。その後、2018年に業務向けソフトウェアを手掛けるCA Technologiesを買収。2019年にセキュリティベンダーSymantecの企業向けセキュリティ事業を買収するなど、収益性の高いソフトウェア部門を強化しながら事業を拡大し、データセンター向けインフラ製品を幅広く提供するようになった。
BroadcomはVMwareの買収取引完了後に、同社のBroadcom Software Groupのブランド名を「VMware」に変更し、既存のインフラやセキュリティ関連のソフトウェア製品をVMwareの製品ポートフォリオに組み込む形で再編成する。データセンターからクラウド、エッジコンピューティングまで、多様な分散環境においてあらゆる規模でアプリケーションを構築、実行、管理、接続、保護するための選択肢と柔軟性を提供する。BroadcomとVMwareのそれぞれの2021年度のプロフォーマから、買収によってソフトウェア売上高がBroadcom全体の約49%を占める見込み。そして買収完了から3年以内にプロフォーマ利益が約85億ドル増加すると予想している。