日本オラクルは5月23日、東芝の日本・アジアのグループ95社、5万人以上の従業員が利用する標準財務会計システム、BI分析システムおよび周辺システムを含む基幹システム基盤に、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の「Oracle Exadata Database Service」を導入したと発表した。

今回移行した財務会計システムとBI分析システムはこれまで、データベース基盤として「Oracle Database」を他社ハードウェア上で、BI分析基盤として「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」を「Oracle Exadata」上に構築し、オンプレミスで運用されていた。

ハードウェア保守期限切れ、ハードウェア老朽化に伴い、システム基盤の新たな環境への移行が求められていた。また、データセンターの閉鎖計画も決まったことから、財務会計システムではアプリケーション・サーバ7台、データベース・サーバ4台、約70テラバイトのデータ、分析システムにおいてはアプリケーション・サーバ10台、データベース・サーバ8台、60テラバイトのデータを含む大規模なシステム基盤の本番環境に加え、DR環境、開発・検証環境を含む新たな環境構築と移行を、限られた期間内に、5万人以上のユーザーへ影響を及ぼすことなく行うことが要件とされていた。

こうした背景の下、東芝はオンプレミスで利用していた「Oracle Exadata」の実績、「Oracle Database」、「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」との親和性を考慮し、「Oracle Exadata Database Service」への移行検証を開始。

東芝では従来、大阪のデータセンターに本番環境、東京のデータセンターにDR 環境を構築していたが、「OCI」上でも大阪リージョンを本番環境、東京リージョンをDR環境、開発・検証環境として活用し、計50環境の構築、移行が行われている。「OCI」上での環境構築、移行リハーサルなどの準備作業を経て、2021年5月から移行を開始し、9月に移行を完了、10月から稼働を開始しているとのこと。

東芝は「OCI」への移行により、システムの利用状況に応じて無停止で柔軟にリソースを調整することができるようになり、性能バランスの最適化による安定性を維持しながら、運用負荷を軽減し、運用コストも10%削減しているという。