米デル・テクノロジーズは5月3日(現地時間)、米ラスベガスで開催中の「Dell Technologies World 2022」において、Vice Chairman & 共同COO(Chief Operating Officer)のジェフ・クラーク(Jeff Clarke)氏が基調講演に登壇し、同社のストレージ製品「Dell PowerStore」「Dell PowerMax」「Dell PowerFlex」の新機能を発表した。

ジェフ・クラーク氏は冒頭、コロナ禍の26カ月を振り返り、「ニューノーマルというものが進化し、ハイブリッドワーク、ハイブリッドラーニング、ハイブリッドコマースなどに対応した。この対応によって、システムの運用環境が変わり、新しい段階に差し掛かっている。テクノロジーによってイノベーションが加速し、当たり前のことを壊し、まったく違う世界になる。デジタル化が加速し、データもいままでにない量が生成され、たくさんの情報が従来型のデータセンター以外のところから出てくる。そして、データが生成さる場所に、コンピュータとストレージが配置される。新しいデジタルハイウェイが構築されつつあり、Software-Defined、Software イノベーションがハードに追いつき、飛び越えていく」と述べ、新しいデジタルの世界では、よりつながった、データ集約型、コンピュータ/ストレージの分散型という3つの特徴があるとした。

  • Dell Technologies Vice Chairman & 共同COOのジェフ・クラーク氏

機能強化を行った「Dell PowerStore」「Dell PowerMax」「Dell PowerFlex」では、500を超える新機能が搭載されているという。新たな製品は2022年第3四半期に提供開始の予定。

Dell PowerStoreでは、PowerStore OS 3.0により、120以上の新機能を搭載。既存の顧客は無料でアップデートできる。また、レプリケーションの機能強化が図られ、新しいMetrosync機能を搭載している。

さらにVMwareとの統合により、VMware vSphere Virtual Volumes (vVols)のレイテンシーとパフォーマンスの向上に加え、vVolsレプリケーションによる簡素化した障害復旧(DR)、仮想マシン(VM)レベルのスナップショット、高速クローニングなどの機能を提供。そのほか、エンド ツー エンドのNVMeサポートおよび100GbE ネットワークのサポートによるネットワーキングスピードの向上により、最大50%の高速化と60%以上容量も拡張し、容量も1つのクラスタで18PB以上提供できるようになるという。

  • PowerStoreの新機能

Dell PowerMaxでは、PowerMax OS 10で200以上の新機能を搭載。Zero Trustの考えをサポートし、スナップショットは6500万までサポートする。また、重複排除およびデータ圧縮により4:1のデータ削減を保証する。「CloudIQ」機能が、サイバー攻撃を早期に検出するという。

パフォーマンスは倍増し、レスポンスタイムは最大 50%短縮されるという。そのほか、Anytime Upgradeにより、無停止でのアップグレードが可能だという。

  • PowerMaxの新機能

Dell PowerFlexでは、Amazon、Google、Microsoft、RedHat、SUSE、VMwareの主要なKubernetesおよびコンテナ オーケストレーション プラットフォームに対するファイルおよびブロックのサポートを追加。

また、ベアメタル環境および仮想化環境の両方を通じて、統合したブロックおよびファイル ストレージ サービスを使用して、既存ワークロードおよびコンテナ化したワークロードを連結。

そのほか、NVMe-over-TCPの採用により導入を簡素化しているという。

  • PowerFlexの新機能

2日目の基調講演では、デルのストレージソフトウェアをAWS、Azure、Google Cloudのパブリッククラウド上で動作させることが目的の「Project Alpine」のプレビュー版のデモも行われた。

「Project Alpine」により、PowerStore、PowerFlex、PowerScale、ObjectScaleというサービスをクラウド上で利用できるほか、オンプレミスとクラウドの一環した管理ができるメリットがあるという。さらに、クラウドのネイティブサービスを併用できる点もメリットだという。このサービスは、今年の下半期にリリースする予定だという。

  • 「Project Alpine」

デモは、開発環境のデータをAWS上に持っていくユースケースと、オンプレミスのビデオデータをAzure上にコピーし、Azure上のAzure Cognitive Servicesを使って、AIのマシンラーニングを行うという例が紹介された。

  • オンプレミスの開発用データベースをAWS上に複製するデモ。デモを行ったのはCaitlin Gordon氏(Dell Technologies Vice President Product Management Software & Solutions)(写真右)

  • オンプレミスのビデオデータをAzure上にコピーし、Azure上のAzure Cognitive Servicesを使って、AIのマシンラーニングを行うデモ

また、基調講演では前日発表した「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」のデモも行った。

  • 「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Microsoft Azure」のデモ