Google Cloudは4月19日~21日の3日間、デジタルカンファレンス「Google Cloud Day: Digital ‘22」を開催した。19日の講演には、TSI デジタルビジネス Div デジタルマーケティング Dept データマネジメント Section Section長の竹山 健司氏と同部の上石萌子氏が登壇し、同社の顧客体験の改革について語った。本稿では、その模様をお届けする。

  • 左から、TSI デジタルビジネス Div デジタルマーケティングDeptデータマネジメントSection Section長 竹山健司氏、TSI デジタルビジネス Div デジタルマーケティングDeptデータマネジメント Section 上石萌子氏

2020年は予測モデルを活用した売り上げ向上にチャレンジ

竹山氏は、2019年の施策について「ロイヤルカスタマーと類似性の高い新規顧客を獲得することで、広告経由の新規会員の獲得数を増加させた。また、プロファイリングを活用したロイヤルカスタマーへの育成により、会員の購入金額を増加させた」と振り返った。

これらの施策でも売り上げは大幅に増加したのだが、TSIは、2020年度の目標として「予測モデルを活用した売り上げ向上施策の実施」と「店舗売上に貢献しているデジタルメディアの可視化・検証」を掲げ、社外のパートナーに支援を受けて、これらを実現するべく動き出したのだという。

1st:機械学習のインハウス化

1stイテレーションにおいて初めに行ったのは、ゴールを「機械学習のインハウス化」に設定することだった。TSIは、D.Table社をパートナーに選定し、ハンズオンを使用することによりこれに対応したという。

「機械学習のインハウス化を目指すにあたっては、7つのステップに分けて取り組んだ」と竹山氏は語った。

  • 7つのステップ

最初のステップでは、プロジェクトのKPIを決めたり、メンバーや進め方を確認したりするキックオフを設け、その次にML(機械学習)に関する勉強会を行った。勉強会では、機械学習の基本からGoogle Cloudのプロダクトまでを学んだ。

続いて、データベース環境やアーキテクチャ、保有データなどを確認する現状確認に進み、ハンズオンを行いながらモデル構築を実施し、それを広告配信やサイトへの出し分けを行った。

最後に、この一連のプロジェクトの結果の検証と考察を行い、プロジェクト全体の振り返りを行うという形が、機械学習のインハウス化に向けた7つのステップとなる。

この7ステップに従い、開発したMLモデルやアクションでの結果を踏まえて、MLモデルの精度や広告配信の結果の検証や改善を行ったことで、目標を上回る成果を上げることができたという。

具体的には、作成したMLモデルによる予測LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は、サイト来訪者の行動とも合致し精度の証明にもつながった。加えて、MLモデルでの広告配信結果は、売り上げ目標比119%を達成し、ROAS(Return On Advertising Spend:かけた広告費に対して得ることができた売上を表したもの)も目標比120%の成果を上げることに成功したという。

2nd:BQ(数量明細書)の活用を加速

2021年3月には、会社の統合に伴い組織編制が大きく変更したことを受け、よりBQ(数量明細書)の活用を加速させるべく、2ndイテレーションへと移行した。具体的には「社内でのデータ人材を増やしたい」「複数回・複数店購入を促し顧客単価を向上させる」「コーディネートの良さを広告で伝えたい」という3つの課題に対して、施策を講じた。

「社内でのデータ人材を増やしたい」という課題に対しては、ML勉強会を開催し、BQのデータ、SQL(データベース言語の1つ)の書き方、広告への連携など、実際に手を動かして学ぶ機会を設け、4名のトレーニングに成功したそうだ。

「複数回・複数店購入を促し顧客単価を向上させる」という課題に対しては、Googleアナリティクスなどのデータを整理し、BQ側と連携を取ることによって、会員登録ユーザーの予備モデルを作成した。

この2ndイテレーションでも売上目標160%、ROAS目標152%と高い割合で目標を達成しており、「今後も自社で機械学習を用いたターゲティングとコーディネートを活用した広告配信を行っていきたい」と上石氏は語った。

3rd:EC内での顧客満足度と売り上げの向上

3rdイテレーションは、ECサイト内での顧客体験と売り上げ向上を目的に行われた。そのために、Google Cloudが提供するRecommendations AIを導入して、関連商品のおすすめ商品の表示を行ったり、データ分析によって顧客ごとの趣味を分析しておすすめ商品の表示を行ったりしているという。

今後の展望について両氏は、「ブランドを横断したリアルタイムのBI(企業内外の事実に基づくデータを組織的かつ系統的に蓄積・分類・検索・分析・加工して、ビジネス上の各種の意思決定に有用な知識や洞察を生み出すこと)環境の構築」「TSIデータのCDP統合」「GoogleアナリティクスやKARTEを用いた施策」という3つのキーワードを挙げ、これらの達成を力強く誓った。

  • 今後の展望