エアバスと川崎重工は4月12日、水素を燃料とした航空機の実現に向けて、水素の生産から空港への輸送、航空機への補給までさまざまな段階における水素サプライチェーンの構築の調査を含めた協働を開始することを発表し、覚書を締結した。
両者が行う予定の調査は、日本で水素サプライチェーン構築をするために必要な要素などを明らかにする目的で行うという。
また、航空機の水素利用に必要な政策提言と課題への取り組みに向けたロードマップを共同で作成し、航空業界における水素のインフラ整備を先導するといい、特に空港を水素供給の拠点とすることに力を入れていくとしている。
エアバス・ジャパン 代表取締役社長のステファン・ジヌー氏は「航空業界における温室効果ガス実質排出ゼロの実現には、業界の枠を超えた取り組みが必要。水素を燃料とする航空機は、温暖化に対する航空機の影響を大幅に削減する可能性があると考えている。エアバスは2020年9月に水素を動力としたゼロエミッション航空機のコンセプトを発表しており、2035年までの就航を目指している。この実現と普及には、空港における水素インフラ構築が必要だ」とゼロエミッション航空機の普及に向けた取り組みであると説明した。
川崎重工 執行役員・水素戦略本部副本部長の西村元彦氏は「川崎重工は現在、水素の液化、運搬、そして受入基地までの貯蔵および輸送のインフラ整備を行っており、今後拡大が予想される水素市場に向けたサプライチェーンの構築、拡大に貢献していく。私たちの技術によって、水素の生産地と消費地を結び、『Hydrogen Road』という新しい水素の道が生まれることを確信しており、『Hydrogen Road』の1つの到着点として空港がカーボンニュートラルの重要な拠点となると期待している」とした。
今回の取り組みで、エアバスは、航空機の特性、航空機のエネルギー使用量、水素燃料航空機の地上作業に関する情報を提供。一方の川崎重工は、サプライチェーンのさまざまな要素における先進技術の見通しの提供と対象空港への水素供給に向けたインフラ整備概要を構築する計画だとしている。