日立製作所は3月14日、ホテルや会員制施設のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に向け、デジタル・アイデンティティと生体認証を使用する実証実験を実施したと発表した。
同実証は2月14日から28日にかけて都内のホテルにおいて、実証への協力に同意した日立および日立グループの従業員延べ50人を対象に、チェックイン時に新型コロナウイルスの陰性証明やワクチン接種証明、会員証、予約情報といった、複数の提示・確認プロセスを、生体認証でまとめて行うことによる効果を検証したもの。
チェックイン時に提示する各種情報と生体情報を予め登録し、チェックイン時は指をかざすことで手ぶらで本人確認と各種証明書の提示が可能になることの効果検証を行った。
ワクチン接種証明や会員証などチェックイン時に表示したい各種証明書情報と、生体情報(今回は指静脈を採用)を事前登録し、同社が開発中のデジタル・アイデンティティ・プラットフォーム上で証明書情報と生体情報をひも付けた。チェックイン時には、フロントの認証装置に指をかざして本人確認ができ、生体情報にひも付けたデジタル・アイデンティティの情報をまとめて表示する。
生体情報の登録時には各種証明書を本人確認書類と共に確認するため、ホテル側は表示された情報の真正性を確認する必要が無い。さらに、同社独自の公開型生体認証基盤PBIを使用し、生体情報事態は保管せず復元できない形に暗号化することで、利用者は安心して生体認証を利用できるとしている。
実証の結果、通常のチェックイン時間と比較して1人当たりのチェックイン時間を40秒以上短縮できたとのこと。また、デジタル・アイデンティティの分散型管理を目指す標準化団体であるADIAの仕様に準拠したスマートフォン・アプリを利用したチェックインも実施し、指静脈認証と同様のチェックイン時間の短縮効果を確認できたとのことだ。