アジレント・テクノロジーは2月10日、細胞の主要なエネルギー代謝経路である解糖、ミトコンドリアによる好気呼吸の状態を、細胞に対して無侵襲・高感度に経時的計測が可能な細胞代謝アナライザ(細胞外フラックスアナライザ)として医薬品開発のために各種機能をアップデートした「Agilent Seahorse XF Proアナライザ」を発表した。

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    Agilent Seahorse XF Proアナライザの外観 (提供:アジレント)

同アナライザは、2015年に同社が買収したSeahorse Bioscienceが手掛けていた細胞外フラックス(XF)製品プラットフォームの最新世代かつフラッグシップに位置づけられるもの。従来品「Seahorse XFe96」をベースに、代謝測定できるダイナミックレンジを拡大することで、XFe96比でOCR(酸素消費速度)の適正範囲が約2倍、ECAR(細胞外酸性化速度)の下限範囲が約3倍広くなり、代謝活性が低いものでも正確に測定できるようになったという。また、測定アルゴリズムの改善によりデータのバラつきについては従来機比で約20%低減できるようになったとする。

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    Seahorse XF Proの機能アップデート概要 (資料提供:アジレント)

さらに、内部ヒータの新規設計など、ウォームアップの機構を改良。これにより、従来一晩かかっていたウォームアップ時間が、37℃の条件であれば1~2時間ほどで終えることができるようになったという。

このほか、XF Pro用の新ソフトウェア「WAVE Pro」も開発。測定後の生データに対するQCチェックを自動で行ったり、誤ったデータ(外れ値)に自動的にフラグを立て、より簡単に外れ値を除外することが可能となったという。

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    従来機(XFe96)とXF Proの性能比較 (資料提供:アジレント)

加えて消耗品として、T細胞の活性化や持続性に関連した代謝変化を評価する「Agilent Seahorse XF T Cell Metabolic Profiling Kit」ならびに開発化合物のミトコンドリア毒性をシンプルかつハイスループットに定量評価可能な「Agilent Seahorse XF Mito Tox Assay Kit」といった新規キットや、培地の蒸発を防ぎ、エッジ効果を抑えることでデータの精度を向上させるプレート「XF Pro M plate」および「Hudorobooster」といった新規プレートなども用意しており、医薬品開発における研究開発の加速させることを可能としたとする。

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    XF Pro専用の消耗品なども用意。これにより、より高い精度での測定などが可能になるという (資料提供:アジレント)

なお、日本国内での販売チャネルとしてはプライムテックが担当。受注についてはすでに開始済みで、価格は3480万円~(税別。機能、構成により異なる)としている。また、XFe96やXFe24、XF HS Miniといった既存の細胞外フラックスアナライザについても継続して販売されるとしている。