神戸大学と日立製作所(日立)は1月21日、神戸市が構築したヘルスケアデータ連携システムを活用した取り組みとして、神戸市民の健康・医療情報を対象に、AI(人工知能)技術による要介護リスクの解析研究を開始することを発表した。
日立独自のAI技術を活用することで要介護リスク予測のブラックボックス化(解析根拠が不明)の解消を目指し、神戸市民38万人の健康・医療ビッグデータから、住民一人ひとりに対する要介護リスクの予測および予測根拠を提示する方法を開発する。
神戸市が提供する平成27年度から令和元年度までの計5年間の介護保険被保険者の医療・介護データなどの連結データセット(1人あたり約3000項目)を活用する。 データ提供は令和6年度まで継続し、最終的に計10年間の連結データセットが提供される予定。
研究の解析対象は、65才以上の神戸市民38万人の医療情報、介護情報、健診情報などを連結した継時的データセットであり、これをAIの学習データとして用いて、一人ひとりに対する要介護リスクを予測するモデルを研究する。
今回用いる日立が開発したAI技術は、高精度な予測モデルを構築するための深層学習(ディープラーニング)において、従来は困難だった「予測に寄与する要因の抽出」を行うことができるとともに、特許取得済みの日立独自の「根拠データ管理技術」により、予測要因を生成した根拠データまで遡ることができるため、高い予測精度とその根拠の説明性を両立することが可能としている。
同研究の成果は、神戸市をはじめ全国の自治体において保健事業と介護予防の一体的実施に従事する専門職員の作業の負荷軽減や、適切なリスク個別予測による介護予防事業の質の向上につなげていく方針だ。