セールスフォース・ドットコムは1月18日、記者会見をオンライン上で開催し、日本におけるCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)の最新状況を説明した。日本のマーケターが優先する事項の変化などが明らかになった。
CDPは日本語に直訳すると「顧客データ基盤」で、文字通り、顧客データを活用するためのプラットフォーム(基盤)のこと。データの「収集」「処理」「公開」を行い、「データを統合的に管理できる」ことが最大の特徴だ。
同社が2020年から提供している「salesforce CDP」は、AI(人口知能)を活用してあらゆる場所からデータを収集して統合し、顧客IDを照合して一人ひとりの全体像を把握することが可能。既知、未知のデータを同意を得たうえで収集、活用し信頼に根ざしたファーストパーティアセットを構築する。
セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 ジェネラルマネージャ デジタルマーケティング・ビジネスユニットの笹俊文氏は、冒頭、「さまざまな企業がCDPを導入しはじめ、日本におけるマーケターが優先する事項の順位が変わってきている」と、日本におけるマーケティングの現状を説明した。
というのも、同社が2020年、2021年に実施した調査「マーケティング最新事情」によると、日本のマーケターの優先する事項が、この1年間で大きく変化していることが分かった。2020年では1位が「人材の雇用と育成」、2位が「一元化された顧客データを全ビジネスユニットで共有すること」だったのだ。
2021年になると、1位が「イノベーションの推進」になり、2020年のときは2位だった「一元化された顧客データを共有すること」は6位となった。一方、2020年に4位だった「クロスチャネル、クロスデバイスのカスタマージャーニーの構築」と、ランキング圏外だった「リアルタイムの顧客エンゲージメント」は、それぞれ2位と3位に浮上した。
「さまざまな企業がデータの整備に着手し始めており、2021年ではその整備したデータを効率的に利活用していくといったことが重要課題となってきている。データの一元化が実現されると、そのデータを活用してマーケティングROIやアトリビューションの向上を目指すようになってくる」(笹氏)
しかし、日本において顧客データに満足している企業は少ない。同調査によると、アメリカでは約5割の人が顧客データへ満足していると答えたのに対し、日本は約3割弱しか満足していない。笹氏は「米国は世界より一歩リードしている。CDPの整備に着手した企業が多い」と見解を示した。
日本企業の重要課題の1つとして、リアルタイムの顧客エンゲージメントが挙げられる。これはサードパーティクッキーの規制によりリターゲティングが出来なくなったことが背景にある。これからはファーストパーティを中心にリアルタイムの顧客エンゲージメントを獲得しなければならない。
笹氏は、「パーソナライズに関しても、それぞれの消費者のセグメント、行動データ、といったことをもとにコンテンツの出しわけを行う必要があり、さらには、オウンドのサイト、Eメール、モバイルアプリを活用してクロスチャネル、クロスデバイスのカスタマーをジャーニー化していくことも、日本の今後の課題だ」と締めくくった。