シュナイダーエレクトリックは11月24日、クラウドとオンプレミスを併用するIT環境の課題に対応するため、リチウムイオンバッテリーを搭載したUPS(無停電電源装置)の新製品「APC Smart-UPS Ultra 5kVA」を発表した。新製品は、APC Smart-UPS Ultraシリーズの第1弾として発売し、日本国内向けには12月24日から提供開始を予定している。

  • 「APC Smart-UPS Ultra 5kVA」の外観

    「APC Smart-UPS Ultra 5kVA」の外観

新製品は、5kVAクラスで初となるリチウムイオンバッテリーを搭載し、EcoStruxure ITによるクラウドベースのモニタリング・管理・保全を可能にした2Uサイズの単相UPS。

同社によると、昨今では多くの業界でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に伴い、データが発生する場所に近いエッジ環境にコンピューティングリソースやネットワーク、ストレージなどのIT機器を設置し、クラウドとオンプレミスを併用する必要がある一方で、分散した複数拠点へのITインフラの導入・運用には、管理の煩雑さや人的リソース、スペースや床荷重の制限など、固有の課題が存在すると指摘。

そのため、同社では企業の情報システム部門の担当者やITソリューションプロバイダーが直面しているエッジコンピューティングの課題に効果的に対応できるように設計されている。

新製品のリチウムイオンバッテリーは、鉛を使用した従来のUPSである「Smart-UPS SRT(SRT5KXLJ)」と比べて最大2倍長持ちし、通常の稼働条件では交換の回数を半減できるため、鉛バッテリーよりも総所有コストを低く抑えることを可能としている。UPSの耐用年数においてバッテリー交換のコストや訪問工数などの削減が可能なことに加え、5年間の無償保証を付帯しており、延長保証で最長10年までのサポートを提供する。

バッテリー寿命に加え、鉛バッテリーを用いた同容量の同社従来製品(Smart-UPS SRT)と比較して、重量は47%の軽量化、筐体サイズは33%の小型化を図っている。これにより、さまざまな条件のIT環境において、設置面積やコスト、メンテナンス工数の削減などの効率化が図れるという。

  • 従来製品との比較

    従来製品との比較

IT人材の不足が叫ばれている中、特に資産の分散が進むと機器の監視やバッテリーの交換、故障した機器の交換など、管理・保守・運用の活動が負荷となることから、新製品は同社が提供するクラウドベースの運用管理ソリューション「EcoStruxure IT」に対応。自社のIT管理者が関する場合は「EcoStruxure IT Expert」を、同社による24時間365日の運用監視サービスの際は「EcoStruxure Asset Advisor」を、それぞれ用意している。

  • 「EcoStruxure IT」に対応

    「EcoStruxure IT」に対応

EcoStruxure IT Expertは、遠隔地からでも複数デバイスを統合的にモニタリングでき、データ分析にもとづいてパフォーマンスを最適化することが可能とし、EcoStruxure ITのプラットフォームには内蔵型のネットワークポートを介して接続する。APC Smart-UPS専用のウェブポータルからUPSの稼動状況に関する自動アラートを設定することで予防保守も行えるため、ダウンタイムの削減や平均修理時間の短縮が期待できるという。

ユースケースとして、企業内サーバルーム、エッジ、研究・研究機関、工場内ネットワーク、医療情報システム、物流システムなどの大企業から中小企業を対象としている。価格は、なお、今後は拡張バッテリーパックや交換用バッテリーモジュールをはじめとした各種アクセサリーオプションを順次提供の開始を予定している。

  • 想定しているユースケース

    想定しているユースケース