2021年11月15日(米国時間)、世界のスーパーコンピュータ(スパコン)に関するランキング「TOP500」の2021年11月版が発表された。理化学研究所や富士通が開発した日本の「富岳」は、2020年6月から4期連続での首位獲得を達成した。トップ10における順位変動はほとんどなく、唯一、Microsoft Azureに構築された米国の「Voyager-EUS2」が10位となって初のトップ10入りを果たした。
2021年11月版のTOP500は次のサイトで公開されている。
次のレポートでは、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」なども含めた今回のランキング発表に関するハイライトがまとめられている
1位を獲得した富岳のHPLベンチマークスコアは前回と同様の442 Pflops/s(1秒間あたり44.2京回)で、2位を取った米国オークリッジ国立研究所の「Summit」(148.8P flops/s)の約3倍を達成している。トップ10の中では、前期(2021年6月)に対して1位から9位までの順位変動はなく、10位のみMicrosoftの「Voyager-EUS2」がDell C6420システムの「Frontera」を押し退けて新規にトップ10入りした。
トップ10の全リストは以下の通りとなっている。
今回の発表で注目すべき点としては、前回に引き続いてAMDプロセッサが大きな成功を収めていることが挙げられている。新たにトップ10入りを果たしたVoyager-EUS2でもAMD EPYCプロセッサが採用されているほか、新たにトップ15入りしたマシンもすべてがAMDプロセッサを搭載したものだという。
国別の統計では、中国が前回の186台から173台とわずかに減少したものの、依然として1位を獲得している。2位は米国の150台で、前回より27台の増加となった。
なお富岳は、TOP500のほかにも、産業利用などで用いられる共役勾配法の処理速度に関するランキング「HPCG」と、人工知能(AI)の処理に関するランキング「HPL-AI」でも4期連続の首位を獲得している。また、大規模グラフ解析に関するランキング「Graph500」でも4期連続の1位となっている。Graph500については次のサイトでリストが公開されている。
電力効率の良い高性能計算の実現を評価するランキングの「Green500」では、日本のPreferred Networks(PFN)が開発した「MN-3」が前期に引き続いて1位を獲得した。MN-3はTOP500でも前回の337位から302位に順位を上げている。