デロイト トーマツ グループは11月4日、世界40カ国の企業における調達責任者(CPO)400名以上を対象に調達領域における課題・現状認識などについて調査しまとめた「Global CPO Survey2021」の日本語版を公開した。

  • CPOにとっての今後12か月の優先事項 (c)デロイト トーマツ グループ

    CPOにとっての今後12か月の優先事項 (c)デロイト トーマツ グループ

CPOにとって、今後12カ月の各ビジネス戦略における優先事項は、「運用効率の促進」「コスト削減」が最重要事項として位置づけられ、「デジタル変革」の重要性が劇的に高まっている。「企業の社会的責任(CSR)の改善」の増加も大きく伸びるなど、ほぼ全ての項目で優先度が高まっている。CPOが取締役会・経営会議等に報告している優先事項の平均数は増加し、各事項の相対的な重要性も全体として増加しており、CPOの抱える課題は複雑性を増している。

複雑化する調達課題に対し、パフォーマンスの高いCPO(ハイパフォーマー)とその他のCPOの比較を行った結果、ハイパフォーマーは幅広いKPIを明確に測定・管理していた。コスト削減に関するKPI管理をしている割合では両社にほぼ差異がない一方、持続可能性/多様性の目標ではハイパフォーマーの63.1%がKPI管理を行い、その他のCPOは36.14%に留まった。

CPOにとっての優先課題の中でもDXに関する導入状況をハイパフォーマーとその他で比較した結果、導入状況に大きな開きがあった。個別のテクノロジーを見た場合「次世代」テクノロジーの導入が最も進んでいるのは、記述型データ等の高度なアナリティクスや可視化と、日常の業務で行われる典型的な反復作業の自動化を支援するためのRPAの分野であった。RPAに関してはハイパフォーマーとその他では完全導入の割合には大きな開きが見られた。

  • デジタル活用状況 (c)デロイト トーマツ グループ

    デジタル活用状況 (c)デロイト トーマツ グループ

優先課題のうち、CSRに関しての対応状況について個別分野ごとにハイパフォーマーとその他で比較した結果、ハイパフォーマーとそれ以外を含めて最も優先度が高い分野は、規制及び地政学的コンプライアンスとなった。ハイパフォーマーとその他の差は「高い優先度で対応する」と答えた割合の違いで現れ、特に人権と社会的責任の分野や環境保全の分野において差が大きく表れた。

今回の調査結果では、CPOの優先度が複雑化し、求められる役割が変化していることが明らかになった。その複雑な役割を果たすためのカギとして「アジャイル」を挙げ、デジタル変革、業務変革の必要性をレポートでは述べている。

  • CSRパフォーマンスへの自己評価 (c)デロイト トーマツ グループ

    CSRパフォーマンスへの自己評価 (c)デロイト トーマツ グループ