クラウド型経費精算システム「楽楽精算」などを提供するラクスは10月25日、2022年1月の改正電子帳簿保存法の施行を前に、全国の経理担当者全国の経理担当者1,009名を対象に実施した電子帳簿保存法に関する意識調査の結果を発表した。今回の調査結果から、法改正が電子帳簿保存法対応の後押しとなっている一方で、多くの企業において施行が数カ月後に迫る中、いまだ対応準備が進んでいない現状が明らかとなった。
同調査で2022年1月施行の改正・電子帳簿保存法について、「法改正の中身についてよく知っている」または「法改正があるのは知っているが、中身はよく知らない」と回答した688名に、PDFで受け取った請求書を紙に印刷して保管することができなくなることを知っているかと聞いたところ、「知らない」が24.1%、「印刷保管が認められなくなることは知っているが詳細までは知らない」が49.3%で計73.4%が「詳細を知らない」と回答した。
また、今回の改正でこれまで電子帳簿保存法対応のハードルとなっていた、「税務署への事前承認申請」やスキャナ保存を行う際の定期検査・原本確認などの「適正事務処理要件」が廃止されることについても、「知らない」が18.8%、「廃止されることは知っているが詳細までは知らない」が58.9%で計77.7%が「詳細を知らない」と回答している。
次に、電子帳簿保存法への対応状況について「対応を検討している」、または「いずれは検討したい」と回答した535名に対して、2022年1月より電子帳簿保存法を導入したいと思うか聞いたところ、82.8%が「導入したいと思う」と回答した。
一方で、「導入したいと思う」と回答した人のうち、電子帳簿保存法への対応に向けて「すでに動いている」のは20.1%にとどまる結果となった。
最後に請求書の発行方法について質問したところ、「紙で印刷、封入作業を行い、郵送している」という回答が73.4%を占め、多くの企業が請求書を紙で発行していることが判明した。
また、ラクスが2021年6月に全国の経理担当者911名を対象に実施した調査では、全体の61.9%がPDF形式で受け取った請求書の保管方法について「紙に印刷して保管している」と回答。
さらに同調査によると、今回の改正によりPDF形式で受け取った請求書を印刷保管できなくなることへの対応について、13.1%が「紙の請求書を郵送してもらうよう、発行先企業に依頼する」と回答しており、ペーパーレス化の流れに逆行するような動きが出てくる可能性もある。
今回の調査では、改正・電子帳簿保存法の施行が来年1月に迫る中、多くの企業において改正内容の理解や対応が進んでいないことが判明した。電子帳簿保存法に対応するには、電子帳簿保存法に対応したシステムの導入や、社内ルール・運用体制の整備が急務だ。改正内容に対する理解を深めるとともに、改正後の運用イメージや準備内容などのポイントを押さえ、すぐにでも対応準備に着手することが企業に求められる。