EVERINGは「Less is Smart」のビジョンの下で、非接触型決済に対応したNFC(近距離無線通信)リング「EVERING(エブリング)」を開発した。タレスジャパンは9月15日、同製品に対して組み込み式のセキュリティと非接触テクノロジーを提供すると発表し、記者会見を開いた。

  • Visaのタッチ決済対応のスマートリング「EVERING」のイメージ

タレスジャパンの金融事業本部は、ICカードの製造および発行、デジタルペイメント、デジタルバンキングといった3つのサービスを中心に提供している。また、金融機関や決済ネットワーク向けに信頼性の高い決済やID管理のソリューションを提供する。

  • タレスが手掛ける決済サービスの例 資料:タレスジャパン

近年の決済市場では非接触決済が主流となりつつあり、今後さらに加速すると予測されている。2019年に世界で発行されたEMV(ICチップ搭載クレジットカードの統一規格)カードのうち、非接触決済に対応するカードは約56%に相当する17億枚だったが、2024年には同年に発行されるEMVカードの80%に相当する27億枚に達する可能性もあるとのことだ。

また、非接触決済の技術が進むことで、外形にとらわれない決済のためのデバイスも出現している。最近では、スマートフォンなどの携帯端末に搭載したモデルや、ウェアラブルデバイスに搭載したモデルなどが増加している。さらに今後は、生体認証の決済カードも増加する見込みだという。

  • 今後はさまざまな形態での非接触決済デバイスが増加する見込みだ 資料:タレスジャパン

同社はこれまで、カード型だけではなくステッカー型やミニタグ、マイクロタグなどの形態での非接触決済デバイスに対して、セキュアな組み込みチップを提供してきた。今回のEVERINGとの提携において、同社は、デバイスのセキュアな組み込みチップと、OSおよびデバイスを利用するためのパーソナライズサービスを提供するとのことだ。

同製品はモバイルSuicaなどの交通系ICと同様に、事前にチャージすることで決済に使用でき、リング自体にクレジットカード情報は登録されない。また、リング内の決済データは利用者のプリペイドアカウントに直接リンクされ、リングの決済パーソナライズサービスによってデータ管理されるという。リングの統合およびパーソナライズサービスは、同社のアジアの専門チームが行う。

タレスDISジャパン 金融事業本部 本部長 鈴木信太郎氏は会見の中で「徐々に非接触型の決済手段が主流になりつつあり、利用者はさまざまな形態の決済手段を受け入れている。今後はファッショナブルなデザインや透明性のあるテクノロジーなどが、決済対応ウェアラブルを選択するポイントになるはず」と語った。

  • タレスDISジャパン 金融事業本部 本部長 鈴木信太郎氏

EVERINGが提供する指輪型の非接触型決済に対応したデバイス「EVERING」は、コンビニエンス・ストアやスーパーなど、VISAのタッチ決済が可能な店舗で利用できる。プリペイド式のチャージ元として登録できる国際カードブランドは、VISA以外にもJCB、Mastercard、AMEX、Dinersから複数枚登録可能だ。

リング内部にはNFC Type Aに対応したチップが内蔵されているため、充電せずに利用できるとのことだ。さらに、スマートフォンのアプリからワンタッチで利用を停止できるため、紛失時にも迅速な対応ができるという。

  • 非接触決済デバイスEVERINGの特徴 資料:EVERING

EVERINGの 代表取締役 CEO 川田健氏は「将来的には決済だけでなく、家のスマートロックや交通系ICカードとの連携、シェアリングエコノミーへの貢献など、リング1つであらゆる生活が送ることができる世界を目指している。Less is smartをテーマに、無駄なものがない新しい生活スタイルを提案していきたい」とコメントした。

  • EVERING 代表取締役 CEO 川田健氏