アイ・ティ・アール(ITR)は9月9日、国内の電子契約サービス市場規模推移および予測を発表した。同社の調査によると、電子契約サービス市場の2020年度の売上金額は100億7000万円、前年度比72.7%増となった。2021年度も同75.0%増の176億2000万円と、2020年度を上回る高い伸びを予測している。
電子契約サービスは、事務作業時間の短縮や事務経費コストや印紙税の削減などを支援するサービス。また、2020年6月に内閣府、法務省、経済産業省が契約書への押印不要の見解を示したことで、昨年来の新型コロナウイルス禍を機に、パンデミックや自然災害時にも契約締結を可能とする事業継続の観点から電子契約サービスの導入が加速しているという。
一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組んでいる企業においても、ペーパレス化や事務作業の効率化などから電子契約サービスを導入する動きが拡大している。また、DXの一環として、同サービスの導入に向けた実証実験を開始している自治体も増加。
こうした動きから同市場の参入ベンダーが増加しており、同市場のCAGR(2020~2025年度)は34.3%、2025年度には440億円に達すると、同社は予測している。
ITRのシニア・アナリストである三浦竜樹氏は、「取引先企業ごとに異なる電子契約サービスを導入した際に、それらを一元管理するニーズが高まっているほか、CLM(Contract Lifecycle Management:契約ライフサイクル管理)やドキュメント管理ツールとの連携など、今後、電子契約サービスは新たなフェーズへと移行していくだろう」と述べている。