日本オラクルはこのほど、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の最新情報に関する説明会を開催した。事業戦略統括 事業開発本部 本部長 佐藤裕之氏は、OCIは「柔軟な基盤」「データ基盤」「クラウドセキュリティ」「配置の柔軟性」という4つの柱の下、拡充が行われていると説明した。
今年3月から5月にかけて、OCIでは122以上の新機能提供・機能強化が行われたが、今回は主要機能として、「OCI Ampere A1 Compute」「同 GoldenGate」「同 Database Migration」の紹介が行われた。
OCI Ampere A1 Computeは、OCIで初めてのArmベースのコンピュートサービスであり、東京と大阪リージョンでも提供されている。プロセッサはサーバ向けのAmpere Altraを搭載している。仮想マシンは1OCPUから80OCPUまで、コア当たりのメモリは1GBから64GBまで対応し、コアとメモリの比率は変化可能だ。ベアメタル・サービスは160コア、1TBのメモリで固定されている。
佐藤氏は、OCI Ampere A1 Computeの特徴として「安定したパフォーマンス」「セキュア」「高い価格性能」を挙げた。Ampere A1 Computeはシングルスレッドのため価格性能がすぐれており、1コア当たりの1時間の価格が1.2円、1GBメモリ当たりの1時間の価格が0.18円となっている。
そのほか、AMD、Intelの新しいプロセッサにも対応した。AMD MilanプロセッサはE4 シェイプとして提供されており、また、Intel IceLake プロセッサは標準的なシェイプとして提供されている。
OCI Ampere A1 Computeは無償トライアルが複数用意されている。「Always Free Services」は、20以上のサービスを時間無制限で利用できる。「Oracle Cloud Free Tier」は、Always Freeに加えて、さまざまなクラウド・サービスを$300ドル分、30日利用可能だ。「Arm Accelerator」は、Always Freeに加えて、申請することで365日有効な無償クレジットの提供を受けられる。
一方、フルマネージド型データ・レプリケーションサービス「OCI GoldenGate」とクラウドへのデータベース移行サービス「OCI Database Migration」は今年4月に提供が始まった。
「OCI GoldenGate」はオンプレミス向けソフトウェア「Oracle GoldenGate」をベースとしたクラウドサービスで、オンプレミスとクラウドサービス間、異なるクラウドサービス間、同一クラウド内の異なるリージョン間、SaaSとOCIの間など、さまざまな環境においてリアルタイムでの データ・レプリケーションを実現する。
従来のデータ・レプリケーションツールは、オペレーショナル・データの統合と、アナリティクスのためのデータ・エンジニアリングのいずれかを専門に扱うが、「OCI GoldenGate」は、オペレーショナル・データと分析データをクラウド上の単一データ・ファブリックに統合できる。
事業戦略統括 事業開発本部 シニアマネージャーの谷川信朗氏は、「データ移行するにあたって、データベースからデータを抜くだけでも負荷が高く、通常はバッチ処理で行われる。また、クラウド型のデータレプリケーションサービスはファイルを飛ばす方式が多く、この場合、リアルタイムでデータを使うことができない。しかし、OCI GoldenGateはリアルタイムでレプリケーションを行い、リアルタイムでのデータ活用を実現する」と説明した。
OCI GoldenGateの料金は1時間OCPU当たりの価格は161.292円と、コストも強みとしている。谷川氏は「オンプレで同じことをしようとすると、金額が1ケタ変わってくる」と語っていた。また、従量課金制のため、用途に応じて、規模を変更できる。Autonomous Databaseと同様に、ベースサイズを選択し自動スケーリングをONにすると、最大3倍までの自動スケーリングが可能だ。スケーリングはダウンタイムなくオンラインで実行され、1時間当たりに消費されたOCPUの実平均が課金対象となる。